「かたって銀天」シリーズ、テーマ2B「なんだか学校に行きたくない」終了しました。
2024年12月19日
12月15日表記の語り合い、一応終了しました。前日14日には2Aの「持続可能な世界実現のために」の1回目を終えましたが、いずれも残念ながら当初目指したそれぞれ小中学生や、高校生等の参加はなく、やむなく総勢6名(前日は7名)大人同士の話し合いになりました。2Bについては2回目は中止し、2Aの分については、2回目もやろうという希望がありましたので、希望者の都合を入れて予定を1日ずらし12月22日(日)に2回目を実施することになりました。
このブログでは15日の2Bの語り合いの結果を報告し、2Aについては2回目を終えてから報告いたします。
まず世話役の方で用意した蓑田雅之著「おはなしワクチン」から抜粋要約した配布資料(4頁分)を読み上げ、関連した部分について、参加者の意見を聴きました。
以下、話題に応じて、語られた意見を紹介します。( )をつけた部分は世話役がその後得た補足情報やコメントです。
○不登校の子どもの数は 宇部ではどのくらいなんだろう
・近隣のある小学校の場合は750人中25人程度と聞いたことがある。
・北部のある小学校では全生徒数21名中1名だった。
・本の要約資料にあるように、2018年の日本財団の調査によると、不登校傾向のある中学生は1割程度であるとされている。今はもっと増えているのではないか。
(2023年度の文科省の調査では小学校生徒に占める不登校生の割合は2.1%、中学生の場合は6.7%です。)
身近なところでも、
・シングルマザーの孫娘 不登校になった。その後、回復し、芸能関係の東京の専門学校に入って芸人になっている。
・近所の女の子、不登校気味だった。
・孫が小学校高学年の時、一時不登校になったことがある。幸い、母親が求職中であったので、学校に同伴するなどして、大事には至らなかった。
などなど。
〇不登校の原因はどう考えたらいいか。
・表記の本の紹介でも触れているように、文科省の調査では主たる原因が家庭にあるといいう調査結果になっているが、NHKの調査では、先生との関係、いじめ、決まりや校則など、学校に大きな原因があるという結果が示されていた。
・やはり原因の元は、家庭にあるのではないか。核家族化と共働きによって、親に余裕がなくなり、幼少期に親の愛情が受けられていないのではないか。
・二世代、三世代が一緒に住むような場合には、祖父母などから面倒を見てもらい、基本的なしつけもしやすかったのではないか。
・保育園等で他人がめんどうをみることには限界があるように思う。親の愛情が大事だ。
・子どもの育児はやはり主に母親の役目ではないか。今は、ほとんど共働きで、親に余裕がない。やっぱり家庭が一番大事だ。
(これらの意見は、年配の参加者から多かった。核家族化については、占領下アメリカによって日本を弱体化するために奨められたと言われています。)
・家庭での対応のまずさは二次的な原因であるかもしれないが、やはり一次的な原因は学校の教育にあるのではないか。
・要約資料にもあるように、戦後もなぜか軍隊的な要素が残ってしまった。制服、ランドセル「気を付け」や「前にならえ」、「遠足」、「運動会」など・・。現在の学校教育もそういったやり方を引き継いでいるところがあり、高度経済成長時代には、それでよかったかもしれないが、これからの時代は、教育の抜本的な改革が必要である。
・5月だったか、ある中学の前を通りかかったとき、体育祭の練習が行われていた。規則正しい集団行動を垣間見て、いくらか違和感を感じたことがある。
(比較的若手の参加者もこういった見方には、あまり異論はないようでした。
先ほどの、身近な不登校の例でも、先生に叱責された、担任代理の教頭先生が生徒に厳しすぎて行けなくなった、いじめにあったといった理由が多い感じでした。)
・広島の市内と、市外の少し離れた所では学力の差が大きいと聞いている。市内では複数の塾に通っている子どももいる。広島ではクラスに5,6人外国人の子どもがいたりするらしい。 宇部で万倉や厚東などでは習いごとができるような場所が少ないのではないかと思う。
・そういう恵まれた家庭で学力の高い子が社会に出た時に、社会に貢献してくれる人になるかどうかは別で、中央官庁の上級公務員でも、日本の国力をおとしめるような役割を果たすようではいけない。恵まれない家庭の子で、いじめっ子になったり、大きくなって反社会的な大人になるようなことのないよう、それぞれの個性を伸ばし 生きる目標をもてるような教育が求められているのではないか。
・動物を飼ったり、犬を飼うのもいい。土いじりも良いし、植物からもいろいろ学ぶこともできる。
・近所の子、不登校気味だったが、犬が好きで、犬を飼ってから随分元気になった。その子のふるまいがこれで良いのかと思う時もあったが、生まれつきのものか、しつけに関係するものかは分からない。
・いろんなレベルの子がいるだろうが、気を使いすぎて甘やかすことになっていることはないだろうか。
・子どもを信じていないのが良くない。しんぼうづよく、子ども自らが変わることを待たなければならない。
・今回、参加する気になってくれていた中3の子どもたち2人がやはり不参加になったのは残念だった。参加してくれたら、このような大人が混じった形はとれなかったが、彼らにとっては貴重な一歩になったかもしれない。
・少し前まで学校でウサギなどを飼っていたりする学校が多かったが、先生の働き方改革もあって廃止になったところがほとんど。動物の毛のアレルギーなどもあるとも聞く。
(ゴーヤなどによるグリーンカーテンを育てる学校もあったが、現在はどうなっているのか。)
・子ども達は失敗したら、先生に怒られるとか、先生の言うことを聞きなさいとかいわれるのがイヤである。
・小野小学校では、生徒数も少ないが、異年齢クラスの構成で、うまくいっており、学業成績もむしろよっくなっていると聞いている。(二俣瀬小学校も異年齢クラスを採用しているとのこと)
・関連して、小学校の例ではないが、昨日の「かたり合い」で、参加者のお一人が、勤めている保育園では2歳から5歳までの異年齢保育を通して、子ども達が、昔の家族に兄弟、姉妹の多かった頃のように年上の子が年下の面倒を見ることで、どちらも学び合いがある。年少の子も徐々に成長し、年長の子は年少の子から見られていることを意識して自己肯定感が高まるという話をされた。
○不登校児童生徒を受け入れるオルタナティブスクール
(フリースクールは紹介した本では100か所になっていたが、AIによると現在は約500か所で、小学校・中学校・高校生における不登校児童の統計人数(346,482人)の約30人に1人がフリースクールに通っているそうです。)
・まだまだ受け入れ体制が不十分であり、やはり公教育の改革・改善が国策として進められる必要があると思われる。
・表記紹介した本には、イエナプランは比較的学校に受け入れやすいものではないかと書かれていた。
・地方からの動きも注目して期待する必要がある。たとえば、芦屋市の現在27歳の全国最年少の高島市長は小中学校の教育改革に一番力を入れている。
(配布資料にも紹介しましたが、それとは別に以下の30分弱動画、非常に勉強になります。 https://www.youtube.com/watch?v=aXXYz6VwiH4 )
また、配布資料で紹介したイエナプラン(異年齢クラス編成、自立型学習、総合学習の取り組み)を導入した福山市立常石ともに学園もあり、以下の動画で紹介されています。
https://www.youtube.com/watch?v=4NKDSQqBvGA
2023年度 常石ともに学園 紹介 オンライン配信 福山市サブチャンネル)
以下は記録をまとめる段階で、新たに認識した宇部市における関連の情報です。
宇部市教育委員会教育支援課は、不登校の児童生徒が元気をとりもどして、学校復帰することを目指して、「ふれあい教室」を実施しています。多世代ふれあいセンターにおいて平日9:00~15:00まで。体験活動として年10回の「出張ふれあい教室」やその他着き1~3回の読書活動等も実施されているようです。ある意味オルタナティブスクールの一種とも見れますね。
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/621/2024fureaiyouran.pdf
人数を確認したらR6年11月現在で、小学生1名、中学生15名ということでした。せっかくなので、小学生をもっと増やすことが大事だと思われました。
また宇部市教育委員会学校教育課では、平成17年度より特認校就学制度を実施しており、令和7年度の受け入れ可能人数は表に示す通り、5小学校及び1中学校を合わせて、76名であるとのこと。
ちなみに厚東小学校では全校児童の15%程度、小野小学校では22名中8名(36%)、厚東川中学校では52名中7名(14%)、が、この制度の利用者で、その他は現在利用者なしということです。
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/kosodate/kyouiku/shouchuu/tsuugakukuiki/1003724.html
交通費の補助等も配慮されているが、やはり市内から交通の便が比較的いい学校に限られる傾向が覗えます。
以降もブログをまとめるにあたっての補足情報です。
不登校も軽度の場合は、精神科医の樺沢紫苑さんが動画で語っておられるような、アドバイスが有効であるようです。
https://www.youtube.com/watch?v=SFZHel2eAV0
体内時計を乱す深夜スマホやゲームをやらず、夜ふかしをやめて、規則正しい生活ができれば不登校は解消する効果があるということです。
ただ、不登校や引きこもりが重症化した場合、本人や家族に大きな負担がかかることになります。そもそも、最近感じることとして、世の中全体が忙しいばかりで、心のゆとりがない傾向があり、人によっては程度の差はあるものの、場合によってはいろいろなタイプの精神的な病気にもつながってしまいます。
下の図は、精神科医の土居健郎先生が、1980年の最終講義で示されたもので、色々な精神疾患を見分けるポイントを示されています。
「精神科的な問題を持っている人はすべて受け身的であるということができ、自分から「わからない」と考えたり、そのために「わかろう」とするというところがない。精神科医としては彼らの心に自分から「わかろう」とする気持ちが呼び醒まされるように指導すること」といっておられます。
子どもが自立できる前に、コミュニケーション力を失っているとき、我々はどのように対応すべきなのでしょうか。やはりこどもが自分から気付いて、一歩一歩踏み出してみるのを辛抱強く待つしかないんでしょうか。
土居先生の著書に「甘えの構造」があります。1971年に初版が出て、すでに50年以上経って、状況も変化していますが、日本の家庭や社会の人間関係に「甘え」が諸外国に比べて伝統的に大きな位置を占めているとされています。
やはりその基本は、母と子どもの関係にあり、子どもが母親を特別な存在と意識できるようになって「甘え」が生じます。母の愛情を受けて「甘え」を満足させて、成長すれば、徐々に自立できるようになるのだと思われます。
家庭の外の社会は、日本では義理人情を大事にして、「同調社会」と言われるように、お互いに甘えあえるように周りに気を遣います。
しかし、最近は母親も共働きで余裕がなくなり、父親のあり方も随分変わってきました。まだ十分な母親の愛情を受け、甘えられないうちに、幼稚園や小学校の管理教育を受けると適応できずに不登校になる恐れもあります。
そういう意味では、不登校の原因は家庭にも、学校にもあると言えるのではないでしょうか。また、世の中どんどん世知辛くなり、「甘え」を受け入れてくれる人は少なくなり、社会に出ても、適応できず、引きこもりになってしまう人も多くなりつつあります。
いずれにしても難しい問題ですが、「誰かが解決してくれるだろう」ということではなく、自分ごととして、みんなに考えていただき、行動に結び付けていただきたいと思います。
長文失礼いたしました。(文責:浮田)
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