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NHKカルチャーラジオ、藤原辰史の「分解を考える」を聴いて

2022年01月04日

京都大学の人文科学研究所教授の藤原辰史のカルチャーラジオ番組、年末の放送、1月2日に再放送がありましたが、Youtubeで1時間を4分割で聴けます。
 大量生産、消費、廃棄の日々の暮らしと農業軽視をどうしたら方向変換できるのか、とても興味深い講演でおすすめしたい。

https://www.youtube.com/channel/UC16Dij1AqE-MUlUuGy2xXcA

自分は歴史研究者で、対象は20世紀前半、1900年~1950年
 二つの大戦の間、1914-18はまさにパンデミック、Spanish Influenzaが猛威の時代。ドイツだけで76万人の餓死者が出て、ほとんどが子ども。肥料は火薬に、農村から兵士を出して食料生産劣化。ナチスは子どもを飢えさせないとして、食糧・農業重視の政策プロパガンダを行った。歴史学で不満なのは食べる姿が見えないこと。(だから自分が研究)
 「分解の哲学」の本を出版し、学者、ファッション、食の仕事、音楽や芸術分野など様々な書評、感想をいただいている。食料は700万トンもすてられ、支援の2倍に及ぶ、人道的に許されないこと。ファッションもサイクル早く、布を切っては捨てる、業界の中にいて心がいたい、分解する服を作りたいという声もある。

藤井一至(かずみち):「土 地球最後に謎、100億人を養う土壌を求めて」が面白い。光文社新書、宇部市立図書館に蔵書あります。

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043681

 国際土壌年が2015年から始まっているが、できるのに100年~100万年もかかる土を粗末にしている。団粒化が大切、数珠、すきまでふかふか、ミミズや微生物が生きられる。
 トラクターが土壌を押しつぶし、1930年代からダストボール、砂嵐の環境破壊が米国で発生。シカゴなど。保水できる団粒構造が壊れ、化学肥料により根が張らず。小説スタインベックの怒りのブドウはそうした農村を描いている。

 生態学 ecology とは分解は死んだ生物が再び生産へと変化させる過程。3つの生き物、生産者(太陽光から光合成ででんぷんをつくる、植物)、消費者(動物)、分解者からなる。土壌学で分解者は森林の落ち葉などを分解し、養分に変えている。分解に人間や動物の排泄物も関与、土壌学者の久馬さんの言葉にある。
 京大農学部の石田紀郎先生は低農薬のみかん農家を支援してきた。福島の原発震災をみて、壊せないもの、分解できないものを作ってはいけないことは、小学生でも知っている。それなのに、原発はと嘆いた。
 ものを買っては捨てる現代の消費文化、広告代理店の10訓、1970年代から有名、捨てさせろ、古くさせろ、無駄遣いさせろ、・・・欲望の資本主義、大量生産、廃棄の構造が問題。

 アンチエイジング、老化を過剰に恐れる、PPKぴんぴんころりも人の生き物の摂理に反すること。
久馬(久間)さんと言う土壌学者、落ち葉は硬く、ワラジムシやミミズが粉砕、トビムシ・ヤスデがはたらく。
 デビット・モンゴメリ、アン・ビクレー:土と内臓、築地書館 ⇒宇部市立図書館に蔵書あり。
食べること・耕すこと、植物は葉ででんぷんを光合成し、根から土壌に放出している。根の周りに微生物が根圏をつくり、ばい菌から守ってくれる。人間・動物の腸には多くの微生物が棲んでいる、エキスを出して共存、免疫を高める役割、腸内細菌を飼っている。

教育学のフリードリッヒ・フレーベル: プロイセン、1800年、
1歳から3歳のこども、学校に行く前の子どもにも教育として重要な時期、発明はキンーガルテン(幼稚園・保育園)と積み木で実践した。積み木は積み上げて創る形より、壊す分解、宇宙の摂理が大切。壊すおもちゃ。
芸術では開高健の日本三文オペラ、小松左京が日本アパッチ族を書いていて、SF作家らしく、鉄くずを食べて鉄を排泄する人々を描く、日本の軍隊に勝利する物語。
 藤原辰史は「学校給食の歴史」岩波新書が面白い。連れ合いが買ってきた「ナチスのキッチン」が書棚に積読状態なので、折をみて読みたいと思います。

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