第2回ESD研修会 第1部 村岡環境政策課長による講演の報告です
2021年12月30日
2021年度第2回ESD研修会が12月18日市立図書館にて行われました。
第1部は宇部市環境政策課村岡和弘課長さんによる講演「宇部市の環境政策とSDGsへの取り組み」でした。
村岡さんは4月から環境政策課に来られたが、その前は総合企画Gで、ちょうどSDGs未来都市の認定を受けた前後4年間、SDGsに関わって来られた。SDGsと環境の関係は考えやすい印象を持っているが、今の時代、地球環境問題が大きなウェイトをもっている。
一方、具体的に何をしたらいいのかや、また、地球環境についての成果はとらえにくいという面もあるとのこと。
すでに、地球温暖化の危険性については、よく知られているが、この100年の間にすでに海面は19cm上昇し、1m上昇すれば日本の砂浜の90%が失われるということ。
産業革命以後、石炭や石油を使って多くの二酸化炭素を排出したことによって、その温室効果により、地球温暖化が進んでいること、とくに第二次世界大戦後の高度経済成長によって100億㌧CO2/年から2010年350億㌧まで排出量が上昇してきている図を示されました。(https://www.jccca.org/ipcc/ar5/img/wg3_02.jpg)
最近のニュースでは、2019年、化石燃料由来は380CO2億㌧、土地利用を含め、CO2以外のメタン等を含めたGHG排出量はCO2換算で524億㌧に達しているとされています。https://j-unep.jp/publications/images/UN_EGR2020_ExSummary_jp_final.pdf)
目下、宇部市では、2022年度~2031年度について、第5次総合計画の基本構想がまとまりつつあり、第3次環境基本計画、廃棄物処理基本計画も策定中で、後二者については1月中旬までパブリックコメント受付中であるということです。
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/012/520/shiryou_7-2.pdf 、
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/014/269/keikaku6.pdf
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/014/377/soan.pdf2031
もう一つ、世界で注目を集めている海洋プラスチックごみの問題については、プラスチックスマートの一環として、市の環境政策課の方で、丸尾の網ノ浦と五反田川河口の2か所で昨年11月から4回の漂着ごみ調査をされています。分別計量もして、漂着ごみの9割がプラスチックであったとされています。
さて、本題として、市の環境政策とSDGsの関係について、関連性の深いゴールとして、4.教育、7.エネルギー、12.ごみ、13.気候変動、14.陸上生態系、15.海洋生態系の6つがあげられています。
とくにカーボンニュートラルに向けての環境政策は、石炭と縁の深い工業都市である宇部市にとっては、大きな問題であると思われます。再生可能エネルギーに管しては小中学校の体育館の屋根への太陽光パネルの設置はかなり進んでいるが、その他後者の屋根などにどの程度置けるのか建築部局と相談して進める必要がある。また、ごみについては、昨日の環衛連理事会で6R(Reduce, Reuse, Recycle, Refuse, Recover, Return)を提唱することを話し合ったところであるとのこと。
地球環境問題については、市単独では難しい面もあるが、国・県の動きを見つつ、技術革新も含めて、マイルストーンが見えにくい状況があるとされた。
教育に関しては環境に優しい人材育成が大事であり、明日の日曜日にも図書館でクールチョイスのイベントがあるということでした。
中でもGoal4の教育を重視していただいていることは、ESDうべ推進協議会として、ありがたいことだと思いました。
はじめに触れたように、宇部市では現在、環境基本計画および一般廃棄物処理基本計画の改訂時期であり、この後、おもに第5次環境基本計画(素案)を紹介しての説明がありました。
計画の対象範囲は地球環境、生活環境、自然共生、資源循環、地域環境力と重要な項目が網羅されています。地域間協力は縦割りになりがちな行政内や、産業界、市民等の横串をさすものとのこと。
計画の期間は、2022年度から最終年度は2031年度であり、国でいえば2013年度のGHG実質排出量の46%減を実現しなくてはなりません。
宇部市の目指す望ましいい姿は第2次の計画と変わっていないようですが、視点は、SDGsや、2050年のカーボンニュートラルを意識したものになっています。③の環境・経済・社会の統合的向上というのは少しわかりにくいというか、視点は視点として、実現は難しい時代になっている気もいたします。
基本目標の図は、先の計画の対象範囲を、市民にも分かりやすく表現したものになっています。
この基本目標を達成するための、施策の柱と基本施策については、次頁の図に示されています。
今回のRSD研修会に関連の深い、主要な環境指標として、民生部門での1人当たりGHG排出量、自然観察会や環境保全活動への参加者数、1人1日当たりのごみ排出量、環境イベントの参加者数があげられ、それぞれの目標値が下の表に示されました。
村岡さんは今後、CO2の具体的目標、生物多様性に関する目標、環境学習に関する目標に重点を置いて考えたい。生物多様性については、自然観察会が環境問題を考える人口として有力であると思うと述べられました。
ただ、感想としては、学校教育における自然体験型環境学習なども意識していただければと思いました。ごみ減量についてももう少し意欲的な目標を期待したいところです。
前後しますが、素案における、基本目標を達成するための、施策の柱と基本施策です。
最後、山口県で唯一のSDGs未来都市として、また100周年の節目において、「100周年のその先へ持続可能なまちづくり」を目指すとして、締めくくられました。
質疑では
〇人づくりが大事という認識や、横串が大事で環境政策の方で出来ればリードしていきたい、という覚悟もお聞きして大変心強く思った。最後にあげられた3つの重点の中に、資源循環が抜けていたのはなぜか。
⇒どれも大事だが、生活環境保全や廃棄物対策は、やっていかなくてはならない文やであり、すでに軌道に乗っているというにんしきである。重点で挙げた3項目は再構築と強化をこれからやっていかなくてはならないものであると考えている。
〇自然観察会の強化を考えていただいてありがたいと思う。ただ里山ビオトープの親子自然観察鯛等の活動だけでも年間500人を越えているのに現状地712人と言うのはいかにも低い印象である。
⇒市外でのイベント参加も含めたいと思うが、データのとり方を工夫したい。
〇ごみ減量の目標に関連して、生ごみの堆肥化等も視野に入れて、食物の循環の重要性についても頭に置いておいてほしい。
〇環境教育を強化したいということはありがたいと思うが、具体的にどんなことを考えているのか。
⇒学校教育では指導要領に沿った教育が行われ、時間に余裕がないが、たとえばごみの処理については4年生の時にカリキュラムの中に組み込まれているが、それで立ち消えて以後の重層性がない。小学校高学年、中学校とレベルアップした学習が必要ではないかと思う。教育委員会や教育現場にも働きかけをしたいと思う。(その2に続きます)
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