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脱炭素社会実現に向けて、アンモニアが「燃料」としての役割を期待されていることをご存知でしょうか?
2021年02月15日
皆様はアンモニアと聞いてどんなことをイメージするでしょうか?
地球全体として脱炭素が大きな課題である今、燃料としてアンモニアが注目されています。
アンモニアは、既存の技術では燃焼すると窒素酸化物を排出してしまうため、燃料に利用されることはほとんどありません。しかし、二酸化炭素を排出しないこと、生産・運搬などの技術が確立されていること、調達コストが安価であることなどから、 アンモニアは2050年を目標とする脱炭素社会の構築に向けた次世代燃料に位置づけられています。
また、もちろんアンモニアのみによる発電を行うための技術開発もされていますが、従来の石炭火力発電に混ぜて燃やす(混焼)ことでも、二酸化炭素の排出量を大きく抑えることができるのです。下の表はアンモニアと石炭を混焼させる割合ごとの二酸化炭素削減量です。大幅な削減が期待できることがわかります。
(出典:経済産業省ホームページ)
実際に、アンモニアを燃料として用いる試みは既に行われており、実証実験なども実施されています。国内最大の火力発電事業者であるJERAは、昨年10月に発表した2050年におけるゼロエミッションへの挑戦「JERAゼロエミッション2050」のロードマップの中で、燃料アンモニアの火力発電への混焼、専焼へのリプレースを明記しています。
(出典:経済産業省ホームページ)
一方で、アンモニアを燃料として活用するには課題もあります。まず一番大きな課題はアンモニアをどのように安定して確保するかということです。アンモニアは、すでに世界中で使用されており、特に農業用の肥料などに膨大な量のアンモニアが用いられています。国内すべての石炭火力で20%混焼をおこなうには、約2000万トンのアンモニアが必要となりますが、これは現在の世界のアンモニア輸出入量とほぼ同じ量です。今のままでは圧倒的に供給量が足りないということがわかります。供給が不足すれば価格が高騰し、肥料の市場にも影響をあたえることになるため、対策が急務です。我が国が安定的な供給経路を構築することができれば、世界の燃料アンモニア市場をリードすることが期待できます。
また、アンモニアは燃焼の際には二酸化炭素を排出しませんが、原料となる水素を石炭や天然ガスなどの化石燃料から製造する場合、製造過程で二酸化炭素が発生してしまいます。この課題に対しては二酸化炭素を再利用するカーボンリサイクル、太陽光・風力といった再生可能エネルギーを使って作った水素を使うことで、真の「カーボンフリー」の実現を目指すといった動きがあります。
まだまだ検証段階であり、課題も多く残されていますが、今後の発展に大きな期待が持てる分野であると思います。ぜひ注目してみてください。
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