2月16日、オンラインの令和2年度自然再生協議会全国会議がありました。
2021年02月21日
午前は、ファンドレイジングに関する基調講演がありました。午後前半には、24の自然再生協議会と類縁3団体の活動紹介がありました。
オンライン参加者による発表や、環境省事務局による紹介等様々でしたが、時間が全体で1時間という密な紹介でした。われわれ椹野川河口域・干潟自然再生協議会は、1月にきらら浜自然観察公園観察ホールで撮影していただいた動画で紹介されました。
その中で、印象に残った特徴ある協議会として、3つだけ紹介します。
まず一つめは久保川イーハトーブ自然再生協議会です。
http://www.env.go.jp/nature/saisei/kyougi/kubokawa/
久保川は北上川水系磐井川の支流で、一関市の郊外に位置し、2012年の第14回日本水大賞の環境大臣賞を受けています。
http://www.japanriver.or.jp/taisyo/oubo_jyusyou/jyusyou_katudou/no14/no14_pdf/kubogawa.pdf
何が特徴かというと、まず石勝院というお寺が中心になった活動であり、その活動を通して、日本で始めて樹木葬墓地を発案実施し、その収益をまた里山の整備に活かされていることです。
また、東京大学の鷲谷研究室の指導を受け、外来種であるセイダカアワダチソウやウシガエル、オオクチバス、アメリカザリガニの排除を行い、本来の生物相を再生することを目指し、そのためのモニタリングも継続されていることなどです。また都会からのエコツーリズムも視野においておられるようです。
流域内には小さいため池が600以上もある、かなり広い面積があるので、活動もなかなか大変だと思われます。民間団体主導でよくやられていると思います。
二つめは、岸和田市の神於山保全活動推進協議会の活動です。
特徴としては、地域の人達にシンボルとして親しまれている山であり、それだけ多くの人達が関わってさまざまな活動が行われていることです。活動前は竹林の繁茂やクズの繁茂、ごみの不法投棄も多かったそうです。
全国的に、協議会の事務局をどこが担っているかが問題であり、今回多くの発表を聴いて、以外に県や市の地方公共団体や、国交省や環境省の地域事務所などが担っているところが多いと感じました。
われわれ椹野川河口域・干潟自然再生協議会は山口県自然保護課が担っていただいていますが、神於山の場合は岸和田市が担っているようで、非常に力が入っています。NPO法人 神於山保全くらぶ も大きな役割を果たされているようです。そして多くの自治会が協議会のメンバーであることも特徴の一つと言えます。
全体構想については以下に詳しい説明があります。
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/soshiki/29/kounoyamazenntaikousou2.html
図に示すゾーン区分は1200haもの広い山域を5つのゾーンに分けて、岸和田市が相当力を入れられていることが感じられます。
https://www.city.kishiwada.osaka.jp/uploaded/attachment/636.pdf
活動の状況については、下記の事例紹介や
https://www.env.go.jp/nature/saisei/network/law/law1_3_1/k4_a.html
NPO法人神於山保全くらぶのHPを見ると、よく分かります。
https://kounoyama.jimdofree.com/
竹林の管理では、竹細工や白浜アドベンチャーワールドのパンダのエサ供給をされているということです。
三つめは中海自然再生協議会です。
http://www.env.go.jp/nature/saisei/kyougi/nakaumi/
事務局は認定NPO法人自然再生センターが担っている非常に希有な例といえます。自然再生センターという全国版のネーミングの羞じず、しっかりした活動をしておられることに、常々感心しています。
資金調達は中国電力のHiビーズという石炭灰を加工した製品を中海の浚渫窪地に埋戻す実証事業の実施協力、その他外部資金の導入などのほか、オゴノリを回収して、水質改善を図るとともに農産物をつくったり、さまざま積極的な活動を行っておられます。
なお、あらためて、今回の20の自然再生協議会のうち神於山を加えて4協議会しかありません。また全体を通してすでに10年以上の活動を行っているところが多いですが、やはり高齢化とともに当初に比べると民間活力が徐々に低下していく傾向は否めないように感じられます。
里地・里山・里海の再生を掲げる団体が多いですが、椹野川河口域・干潟自然再生協議会の活動を振り返ってみても、あるいは、小野湖の水を守る会の活動を見ていても、市民ボランティアの力で里山里海の再生を図るのは無理があると感じます。本来農林水産業を生業として生活できる社会経済環境を再生してこそ、長年培われてきた伝統的な環境が守れるのではないでしょうか。(文責:浮田)
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