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瀬戸内海環境保全セミナーで、「もり・かわ・うみの現状と、いま考えなければならないこと」 と題して講演しました。
2017年07月27日
一昨日、瀬戸内海環境保全知事・市長会議が山口グランドホテルで開催され、それに先だって午前中、瀬戸内海環境保全セミナーで、「もり・かわ・うみの現状と、いま考えなければならないこと」と題して講演をさせていただきました。
セミナーには、残念ながら、知事・市長の姿はありませんでしたが、環境省の関係部署の担当者、関連府県の環境行政担当者など100名あまりに聴いていただきました。
内容は、以下のようなものになりました。
プレゼンを準備する上で、瀬戸内海の環境保全に絞ったものにするには、最近の知見の私自身の消化が不十分であり、水産業の不振に関連して、より広い見方で一般論を話すことになってしまいました。
瀬戸内海の水質はきれいになりましたが、魚は昔に比べて大きく減少しています。その原因は、栄養不足、温暖化、浅海部の埋立、乱獲等々、複雑で、まだわからないことが多いです。
「おか」 の状況として、林業や、農業の状況を紹介しました。
全国レベルでは、林業従事者はH2年に10万人が平成27年には4.8万人と半分以下になっています。しかし最近は、この14年間、毎年60億円程度の緑の雇用事業の効果もあって新規従事者が増えつつあること、また木材自給率も平成14年の18.8%から、平成27年の33.2%とやや回復の傾向にあるようです。
農業人口については、宇部市のデータを紹介させていただきましたが、平成に入ってからも激減し、高齢化も進んでいることがわかります。宇部市の場合は全国レベルよりも厳しい状況にあるようです。
また食品に由来する廃棄物の土壌還元が減少したままであることも影響してか、我々の食品を通しての鉄分の摂取量が減少しつつあることを示し、海の生産力が低下していることにも窒素分やリン分のみならず、鉄分も大きな影響を与えている可能性があることを指摘しました。
要は、持続可能な里山・里海の再生には、農林水産業が成り立つような社会づくりが不可欠であるということです。生半可な市民のボランティア活動ではとても無理と言うことではないでしょうか。
さらに、いま考えなければならないこととして、マイクロプラスチックの問題や、昔から海岸ごみとして多かったカキ養殖のスペーサーがいまだに多いことなども紹介しました。
このスペーサーは1本1円で買い取る制度があることを今回初めて知りましたが、漁業者としては、経済性が合わないので、そのまま捨てることになるようです。その他、発泡スチロールの浮子など、漁業関係者にも必要な管理規制を強化すべきではないでしょうか。
北太平洋の真ん中でも、海鳥のおなかの中にペットボトルの蓋や使い捨てライターまで見つかっています。
最後は、われわれが宇部市において、この1,2年に力を入れているESDの推進について、説明させていただきました。
持続可能社会の実現は簡単なことではないですが、「何のためのESDなのか」 を常に頭に置き、それに向けて真剣に努力すべきであることを訴えました。
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