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私たちの暮らしと地球温暖化 平成29年度第3回環境サロンが開催されました

2017年07月26日

平成29年7月20日 18:00~20:00に、宇部市まちなか環境学習館 3階 ミーティングルーム(大)で平成29年度第3回環境サロンが開催されました。
講師はIPCCリポートコミュニケーターの仰木 則康 氏 でした。仰木氏は前のINCCA事務局長です。講演題目は「私たちの暮らしと地球温暖化 ~IPCC AR5から~」でした。
講演要旨:以下の諸項目の説明がありました。
・ IPCC(気候変動に関する政府間パネル 及び 第5次評価報告書(AR5)の概要
・ COP21 パリ協定の概要・特徴、主要排出国のCO2等削減目標
・ 長期エネルギー需給見通し、電力需給・電力構成、温室ガス削減計画
・ 地球温暖化はなぜ起こっているの?
・ 地球温暖化が進むと?
・ 世界はどう動いているの?
・ 私たちは何をすればよいの?

IPCCレポートとして膨大な資料がまとめられており、短時間ですべてを説明するのは困難なほどの分量であったと感じました。仰木さんの説明の後、質疑応答に入り以下のような意見交換がありました。
・ ヨーロッパと比べて日本では風力発電が伸びないのはなぜでしょう?騒音、低周波音の影響が大きいのでしょうか? → ヨーロッパの方が、洋上風力発電など立地条件と風の条件が良いと思う。
・ 再生可能エネルギーの技術革新にもっと国家的な戦略に基づいた集中投資をすべきだ。→ 光触媒による水素生成とそれに続くC1ケミストリーの展開でオレフィンの製造まで行うプロセスの開発が、日本でも企業を含むコンソーシアムで実施されている。 
・ 電力構成においてベース電源の観点から、どうしても火力発電が必要だ。(原子力も国の施策には含まれている) → 再生可能エネルギーだけでは成り立たないという意見を強く言う人もある。 → やはり再生可能エネルギーの開発をちゃんとやっていくべきだ。ソーラーパネルの価格はドイツは日本の1/2だ。

・ ローカルな地域での再生可能エネルギーの利用を進めて、地域からのエネルギー確保のためのマネー流出を防ぐべきだ。 → ローカルな最適解と、全地域としての最適解とを分けて考えるべきであり、ローカル最適解のみでは解決が困難な場合がある。
・ 一般家庭における省エネルギーは、各人が進めるべきであるが、省エネ家電の導入には初期投資が必要である。初期投資が出来ない人は、省エネ対策も進まないというジレンマがある。
・ 車の省エネ(例えばハイブリッド車の購入)と、現有の車の使用を継続するのとでは、新車の製造に要するエネルギーを考えると、どちらが省エネになるか疑問だ。 → 確かに、今後、有限の期間、車を使用してその後は運転しないという条件では、ご指摘のような状況が起こるだろう。しかしながら、省エネ車のLCAを解析すれば、トータルとしての省エネ効果は出ると思われる。自動車メーカーは新車が売れればよいので、燃費の節約データは出すが、LCAデータはあまり見かけない。このようなデータは探してみるべきであろう。
・ バイオマスの技術革新、森林の保全・維持についてもっと注意を払うべきだ。間伐の使命を全うする人が必要だ。ある種の藻類はバイオマスの生産能力が非常に大きい。このような技術にも注意を払うべきだ。
・ 炭素税は日本でも地球温暖化対策税として導入済である(平成24年10月1日から段階的に導入、平成28年4月1日から最終税率で実施中)が、その活用には賛否両方の意見があった。  (文責 HU)

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