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第12回人づくり・地域づくりフォーラムの第2報です。

2017年03月20日

大分市の本神崎から来られた稲生さんの発表は興味あるものでした。もともと1970年、新産業都市2期計画で、地図で右端の水色の部分を400haにわたり埋め立てて石油コンビナートを立地させる計画であったが、地元民が反対運動を起こし、実現しなかったことに端を発していて、実に40年以上にわたる取組であるとのことでした。

1985年に自治省のコミュニティ推進モデル事業の指定を受けて「神崎コミュニティ」が発足し、埋立賛成、反対で対立した地域住民の和解に動いていったこと、徐々に時代は変化し、神崎では1995年頃に大分県が海水浴場の施設整備もしてくれたそうです。

埋立阻止はできたが、それで良かったのか、責任があるのでがんばったということだそうです。

グーグルマップで神崎の位置を見たものですが、左側に大分の埋立地の東端が出ています。一番左側はメガソーラーであり、神崎の人達が埋立を阻止されたことがわかります。

4,5年前は赤潮も出たようですが、水質は一時よりきれいになっていると思いますが、やはり隣接の埋立のために砂の流れが変わり、砂浜の維持にも影響しているとのことでした。

子ども時代によく登った、こうざき小学校の裏山から海を望む景色は稲生さん達にとって原風景であり、大人の人達から色々なことを教えてもらったことも覚えているということで、登山道の整備もされたというお話でした。

1988年に、アカウミガメの上陸があり、産卵して生まれた赤ちゃんが海に帰っていったそうである。戦前はウミガメの卵をたべていたこともあるそうです。これまで、このようなウミガメの話を聴いたのはフィリピンのルソン島南海岸でのことだったので、こんな身近なところでもいるのかと印象に残りました。

以来、ウミガメが帰ってくる環境づくりに力を入れ、海岸清掃や、車のヘッドライトを遮光するための塀を設けたり、ウバメガシ、イヌビワの植樹をされています。
また、海水浴場で花火をしたりするとウミガメはおそれてよくないということです。


2007年にはキャンドルナイトの時に子ども達が「ウミガメさん帰ってきて」と呼びかけたら、子ども達の願いが通じたのか、実際これまでに3度帰ってきたそうです。

下の写真の記事は、地元の方によるcanpanblogからの引用です。

その他、印象に残った点として、高齢化社会の進行に対応して、2008年に福祉ボランティアと海水浴場運営を担っていたボランティアが新たな「こうざき福祉コミュニティ」をスタートされたことがあります。全国的に環境団体と福祉団体が連携する動きも一つの潮流としてよく耳にするようになっています。
 その後、NPO法人となり、宿泊施設やバーベキュー施設、キャンプ場の整備も進められ、自立的な経営が可能になりつつあるということです。

ただ、やはり世話役の高齢化や、その子ども世代が都会に出ていっていることもあり、世代交代については、大きな課題になっているとのこと。大分市内に勤める子育て世代との交流や学校行事なども行われ、1枚目の写真の下のような交流スペース「みんなの家」の建設にも取りかかっていると言うことでした。海水浴場の管理運営による収入450万円程度はこのような活動の大きなベースになっているように思いました。

もう一つ、「昔は住民自治でやっていたことが、高度経済成長の時代に行政が肥大化したが、また住民自治でやることがもとられている」という、稲生さんの言葉も印象に残りました。と言うのは、我々世代はすでに行き届いた行政サービスを受ける時代でしたので、ボランティア団体がどこまで行政サービスを肩代わりをしなくてはならないのかを日頃愚痴っぽく語ることが多いからです。福祉を通じて自治会とも連携されている神崎の取組からは学ぶことが多かったと思います。

高齢化社会で、若い人にも経済的、時間的に余裕のない現代の社会にあって、行政とボランティアの棲み分け、役割分担をみんなでしっかり考える必要があるように思います。

ひだまりサロンの佐藤さん達の取組は、他の福祉・健康部門でしたが、朝食の時に少しお話ししました。60歳で定年後ボランティアの道に入られ、群馬県前橋市で児童養護施設党退所者のアフターケアをやっておられる。まだ現役世代と思いますが、このような社会奉仕の活動をやっておられることに感心しました。

たしかに資金繰りは不安定で厳しい面があると言うことでしたが、一つ印象に残ったのは、8割は若い女性が多いとのことで、彼女らは「虫」がダメで、農作業や山の作業などは全くできないというお話でした。

やはり小さい頃からの自然の中での体験学習が学校教育の中できちんとやられることが大事なんだなあ、と感じました。

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