環境サロン「出来ることをやってみよう!まちづくり・ひとづくり」の概要です。
2015年09月02日
環境サロン第5回「出来ることをやってみよう!まちづくり・ひとづくり~地域や人との連携が様々な効果を生む~」話題提供:川辺真也氏(㈱林材) 司会:星出和雄
日時:平成27年8月27日(木)18:00~ 場所:まちなか環境学習館
今回のサロン予想したより人が集まらなかったが、遠方よりの参加者もあり、全9名の少数精鋭の集まりとなった。講師の希望で動画配信はせず、スライドも配付資料のものに限定して欲しい由。時間を割いて参加された人と不参加の人に差があっても良かろうという趣旨である。
ブログも簡単なもので、と思ったが、今回も河内さんがきちんとした概要を作っていただいていたこともあり、川辺さん自体、今後もどんどんノウハウも蓄積されていかれるだろうし、これから一緒に取り組もうという人に呼びかけたいという意向を持っておられるので、いくらか簡単なものにしたうえで、やや詳細な概要を登載します。
川辺さんは愛媛県出身。山口大学理学部地質学鉱物科を卒業後、これまで30年間山口県に居住。当時のNEC山口に22年勤務後、東京本社へ単身赴任し、開発と品質管理の仕事に携わった、月一度の帰省では、家族との時間や地域貢献活動が十分できないこともあり、2年後に早期退職募集に応じた。その後、縁あって現在の会社に勤務。
会社の担当業務としては、比較的自由な立場で、社内活性化や地域全体の事業開発等の仕事をしている。
趣味は、旅行・グルメなど多岐に渡る。仕事も趣味も身体が資本と考えているため、身体のケアも重要視している。
地域への貢献活動にあらためて取り組むようになったきっかけは、平成26年度の宇部志立市民大学環境学部。その後、宇部市雇用創造協議会のセミナー、環境サロンにも顔を出すようにしている。
しかしながら、講義やセミナーを聴いて学んでいるだけでは面白くないので、学ぶことから一歩踏み出し、率先して行動を起こすこととした。その結果の一部が、うべ環境コミュニティー入会、宇部市協働のまちづくり委員、下関未来大学への入学など。
地方創生で、国・山口県・宇部市ではそれぞれ様々な施策が掲げられているが、地域の現状は、地域のつながりが薄れつつあり、閉鎖的な環境となっている。このことから昭和時代の地域コミュニティの良いところを復活させたいと考えているとのこと。
このような観点から、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に向けて講師自身が出来そうなことを考えて開始してみたところ、以下のとおりとなった。
・「しごと」の創生
① 企業成長、事業承継、人材育成の推進
② 地元企業を活性化させる取組み
③ 様々な連携促進(業界、異業種、地域、産学公金等)
・「ひと」の創生
④ 高齢者移住41地域に含まれたことへの対応検討
⑤ 若者や子育て世代にとって魅力がある支援・プログラム
・「まち」の創生
⑥ 環境への配慮、スマートな社会の実現
⑦ コンパクトシティーの構築
⑧ 商店街を含む中心市街地の活性化
・「地域」
⑨ 地域資源を活かし、連携した活性化
(6次産業化×農商工連携×産学公連携=地域振興)
⑩ 観光地の活性化
多分野にわたるが、時間に限界があることから、優先順位を付けて取り組んでいく必要がある。自分として、いちばんやりたいのは⑨、⑩である。
企業活動をとおしたサービスの提供は、「工数(人手)」、「モノ・カネの負担」、「対価の徴収」という視点で、「ボランティア」、「寄附」、「CSR(Corporate Social Responsibility)」、「CSV(Creating Shared Value)」、「ビジネス」に分類することができるとのこと。
以下、活動事例の紹介があった。
(1)ときわ動物園(宇部市) ⇒CSV
公式ロゴをあしらった木製の記念プレートをオープンに合わせて販売したところ、300円で285個完売した。
(2)キッズうべたん(宇部市)⇒CSV
様々な形、大きさの木材を利用し、自分のつくりたいものを工作してはどうかということを考えてプログラムを提供したところ、2日で予約完売し、追加も1日で完売した。参加費2千円であったが、満足してもらった由。
(3)スカウトジャンボリー(山口県)ボランティアで清掃活動に参加
(4)ねんりんピック(下関市) ボランティア 下関市のねんりんピックの100日前イベントで参加記念メダルを作製する木工教室を開催した。
(5)業界団体活性化(青年部復活) 業界団体で一度廃れた青年部を復活するように働きかけた。
(6)社内報(㈱林材社内) 社内におけるコミュニケーションツールの一環として社内報を出し、社内活性化を目指した。
(7)地域企業活性化 下関市のある卸売団地内を盛り上げていくため、新規に青年部を立ち上げることを計画し、親睦を図ることを目的としたイベントを10月に開催する。
(8)人材育成教育(企業向け)人材育成のノウハウを活かし、少人数でも受講できるオーダーメードの人材育成教育を行う。CSRの要素もあり格安料金で対応。
地方創生の深化には、
①それぞれが得意分野を活かして積極的に行動する。
地方創生は誰がやるのか、市民は行政が主体でやるものと思っていたり、行政は市民がやるものと考えていたりするが、自分は、みんなで取り組むものと考えている。
②実行することが目的になってはならない。
③ そして、活動を実施するにあたっては、自分と相手にとってプラスになるだけでなく、第三者にとってもプラスにならなければいけない。つまり、一石三鳥、Win-Win-Win、三方よしであることが重要 とのまとめでした。
質疑応答:
Q:宇部市では、彫刻のまちづくりとしてアートフェスタなど実施している。彫刻の清掃ボランティアには、地域内の人、市職員の参加があまりない。また、彫刻の作品名、作家のネームプレートはあるが、作者の経歴等はない。こういう現状をどう考えるか?
A:パフォーマンスだけではだめだ。パフォーマンスにとどまっているものも多い。
C1:彫刻は貴重な観光資源だが、市の広報が不足しているのでは。また、今日のサロンは多分野にわたるもので、関係する市職員の参加もあってしかるべきではないか。
C2:環境サロンは、本来、市の総合政策部門がテーマに応じて職員の参加を促していく必要があるのでは。
A:昨年度は市民大学の欠席分の補講として、環境サロンの紹介があった。環境サロンに限らず、来ているメンバーはどの集まりでも大体同じ人に集約されてくる。そのメンバー同士でタッグを組むということも出来ることの一つと考える。先週の環境サロンの講師の河口さんにも工作教室の広報をお願いした。
また、ニーズに合った企画にしなければ人は集まらない。
イベントをやる際には大事にしていることが3つある。1つは親睦の機会を提供するということ。2つめはイベントにこだわりを持つということ。3つめは他の人がやらないことをやるということ。
Q:下関市の企業団地で開催されるイベントの広報手段は?
A:地域あってこそと考えているため、地域へポスティングを行うことを考えている。
C1:学校からPTAなどを通じて広報することもやられたらいいと思う。
Q:長門の6次産業の取組の話があったが、どのように係わられたのか?
A:行政、民間などいろいろな立場の関係者が出資して企業を設立するというもの。自分は社員教育を通してアドバイスをした。
6次産業の推進する事業をうたっても、食べることにこだわりのない人、食べ物に興味のない人や料理をしない人が事業を担当しても成果がでない。できる仕事とできない仕事を相互補完し、適材適所という考え方が大事。市の担当者も相応しい人材を考えて人事がなされることも重要だ。
Q:社員教育を通してアドバイスをした。6次産業推進は、これまで自身も取り組んできたが、いざ取り組もうと思うと、行政の支援(主に補助金)は障害が多く、まさに役人の絵に描いた餅。本当に6次産業を推進し、成功しようと考えるなら、それはそれでむずかしいが、銀行から借り入れした方がいいかもしれない。
今日の話を聞いていると、地域活性化の本質は、お金が回ることのように聞こえるが、本当にそれが良いことなのか? 都会と違って、なぜ地方である山口でそれをやらなければならないのか? お金がうまく回っても必ずしも幸せではない。地方では、お金をさほど持っていなくても幸福であるといえることもあると思う。目的は幸せ。
私は「変化を促す」というよりも「革命を起こす」というのが持論。
例として「イベントは人を集めることがむずかしい、時間がかかる。変化だけではなく、これまでにないことを考えないとダメ。ということで、最近、来場者に主催者が500円を払うコンサートを企画した。「誰がメリットあるのか」と考えた人はその時点で自分と考え方が違う。人が喜んでいる姿を見ることで喜ぶことこそが幸福だと思う。これまでの発想を転換し、「楽しかった」「ありがとう」と言ってもらえる活動が求められるのではないか。価値観の変化。
こういうことを若い人に自ら発想してやってもらいたいと思う。残念ながらまだ伝わっていないようだが。
A:民間企業なので企画を持ちかけてもはじめは、結局は金儲けではと警戒される向きもあった。今回はお金ではなくて、アイデアで勝負した。参加者に喜んでもらえばうれしい。 お金は回らないと困るが、企業での仕事が楽しくなるようにしたいと思っている。社員の余裕も必要。その中で、会社がすこしだけでも発展すればいい。現職への就職前に十分時間をかけて話し合い、経営者から理解をいただいている。
こういう動きをしていける若い人が増えてくれば地方創生などにつながると思う。より若い世代にもつなげていくことが重要だと思う。色々なところに参加して、人との出会も大事。こどもの教育でも、集客でも、モノで釣るのは継続性がない。自分で考え、行動でする中で、ほめられたりしてやる気が育つ。
私は大学3年前期の時点で卒業単位をそろえ、卒業までの残り1年半は社会経験を積むこととしたが、その中で得たものは、人とのつながりが重要であるという認識だった。また、計画を立てて実行することの重要性、また実行した後で必ず顧みること。これは仕事や趣味でも同じことだ。
Q:先日、日本創生会議が、医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を首都圏の高齢者移住先の候補地として発表したが、山口県では下関、山口、宇部の3市が入っていた。これはハード面の整っているただの移住でなく、ソフト面のコンテンツを充実させることで、より効果的な移住促進を図ることができるのではないかと思う。
A:ハード面で受け入れ機能が整っているからといって、移住が進めば、負の側面として、福祉関係経費の増大や人手不足が表面化すると考えられる。そのため、高齢者に金を使わせるためにも、退職が迫っているサラリーマン(名付けて「後期サラリーマン」)向けに教育し、移住先に老人村を作るなどのアイデアもあるのではないか。現状の様子では、対応が後手に回っているように見受けられる。
C:原発事故があったとき、多くのミュージシャンが西日本に移ったが、山口を素通りして九州に流れた。(作戦ミスか)
A:宇部市のコンパクトシティーの構想は日常的な環境を調える、それは当然のこととして、地方の都市として身の丈にあった、高齢者がより魅力ある楽しめるような環境づくりが必要だ。
C:お金を持っている年寄りがお金を使って幸せに感じるようなしくみを考えな蹴れなならない。
Q:高齢者も大事だが、子どもの教育も大事。今日、学童保育に出前講座をしたが、子どもたちの話を聞く態度がわるかった。配布したプリントを興味がないからと放る子もいた。
ただ、こちらがあとでその子と話すと、ちゃんと資料を受け取ってくれた。このようにきちんと対応すれば、子ども達も応えてくれるんだなと思った。
全体的には今の社会は子どもにちやほやしすぎだと思う。基本的な礼儀など低学年できちんと教えるべき。
A:子供会も昔と比べて、今は衰退している。そもそも子供会に入らない親子が増え、周囲との隔たりが大きくなっている。この場合、家庭で学問・礼儀など教育をしなければならないのだが、実際は家庭でも親子の会話が無いのではないか。特に学童の子どもは両親が働いているのだから、親子で接する機会もあまり無いと推測される。
学童保育の教員は採用する際に面接が必要と思う。学問を教えるだけではなく、礼儀についてもきちんと教えてほしい。
C:学童保育の教員は面接が実施され、研修を受ける制度もある。教員は自身なりに出来る範囲のことをやっていると思う。むしろ家庭内できちんと教育することが必要だと思う。
しかし、家庭も経済的な豊かさを求めるあまり、女性が働きに出ている。子供たちは土日はスポーツ少年団などの活動で忙しく、平日は学童保育に預けられ、親子がすれ違っている生活を送っていると思う。
このような現状で、地域コミュニティの役割が重要さを増していると思う。
C2:教育方針に関する議論は難しい。次回環境サロンは県教育委員会の方に講師をお願いし、「道徳」についての講義をしてもらう予定。どのような議論になるか楽しみ。
Q:市役所は定期的に異動があり、ほぼ職種の違う部署に行く。人材育成の観点から見て、このような状況でやる気を保つためのポイントは何か?
A:どのような職種でも楽しみを見出すこと。そして楽しい仕事をするために、他のやるべき仕事はさっさと文句の出ないように終わらせてしまうこと。
自身も前職では、自分のやりたい仕事をやるために、仕事を効率的に終わらせるために、システム化を行った。既存のシステムはなかったことから、出来る会社を自分で探して、相談し、新たに作ってもらった。このときも自分も事務の効率化にメリットがあったし、相手方のシステム会社には、新たなビジネスになるメリットがあった。上司にも対してもシステム導入のコストが下がることで会社としてのメリットがあり、まさに一石三鳥だった。
C1:私もスポーツをやっているが、得意なことばかりではなく、苦手と思ってやらないことを先にやれば上達する。仕事や学問にも共通するものがあると思う。
C:これから仕事に就くが、たいへん勉強になりました。
(まとめ:河内・浮田)
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