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2024年度第1回環境サロン「食料安保と一次産業の重要性」の報告3 中村隆夫さんの講演

2025年03月16日

次に、宇部市小野地区在住 中村隆夫さんから「宇部市北部の農林業の抱える課題―兼業農家の実践10年目を迎えるに当たって―」と題して、講演をいただきました。

まずある本の序文が示され、「村は生きている~新生運動の発展と成果」(的場徳造/編 新評論1959刊)は、山口県厚狭郡小野地区の農山漁村新生運動についてまとめられたものですが、山口ケ農山漁村新生運動が小野地区で発祥し、効果を上げていることや、昭和8年の更生運動の際、すでに結成されていた農事実行組合の名称を報徳農事実行組合と改めたことなど、当地の取り組みは全国的にも注目されていたということです。
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000325652&page=ref_view
 中村さんは、当時、山口県徳地も新生運動が活発だったそうですが、徳地は今も活気があるとされました。

次に、会場に持ってこられた「小野村65年史」(2960年刊)示され、小野地区の主な出来事について、説明されました。

M22年 4ケ村合併(小野、棯小野、藤河内、櫟原)して小野村になる
S23年 厚狭高校の小野分校が開校
S25年 ダム竣工式 水没 家屋169戸、田106町(ha)、畑13町(ha)ほか
 工事期間9年、事業費1億円(県の事業)
S27年 厚狭高校小野分校を山口農業高校小野分校に移行
S29年 小野村の消滅(宇部市と合併)
    (高度経済成長、牛馬から発動機、耕運機の時代へ(その後、トラクター、大規模機械化、慣行農業の変化)
S48年 山口農業高等学校小野分校の閉校
H11年 小野小、中学校の新校舎落成
H28年 小野中学校閉校>> 現在は竹ラボに。

講演者の経歴ついては、講演の本題も関係するので、やや詳しく話していただきました。
中村さんは1958年生まれ、小野湖の上小野地区の農家に生まれ、親の仕事の関係で一時上宇部に住み、上宇部小、中、宇部高で学ばれたが、農繁期は子供時代からバスで小野から通われたそうです。

大学は宮崎大学農学部で学び、1984年Uターン、自営農業を考えたが、機械化の時代、資金が必要と、仕事を探し、小野小学校の臨時教員を経て1991平成3年養護学校教員に採用されたとのこと。
1993年結婚(35歳)され、2002年から実家に居を移される。2009年12月より農地1.2 haと山林を受け継がれる。7人目の子供さんが誕生されたので、農地の耕作は依頼されたそうです。

2013年農地を預けていた人が耕作をやめられたので、55歳で本格的に農業を始められたということです。残っていた機械(トラクター、軽トラック、草刈り機等)のほかに、必要な機械(種まき機、田植え機、動噴、バインダー、コンバイン、穀物乾燥機、もみすり機、計量器)中古品を集めるのに、労された由。2014年からは、近所の人から水田耕作を依頼されるようになり、再任用終了後
備えつつあるとのことです。

次に、少子高齢化の進展に関連して
・小野小学校の特認校制度の利用者については、令和になって利用者増、5人くらいいるが、通学手段が問題であること。
・中学校の統合で2016年小野中学校が閉校となり、残された校舎の利活用、地元で委員会作ったが続かず、現在「竹ラボ」として活用されていること。
・小学校でのコメつくり体験がなくなったこと、などが上げられました。

さらに。中村さんが本格的に農業に取り組まれて、10年目で感じる農業の課題として以下のような点が上げられました。
①後継者が見当たらない
②生産現場:生産資材の高騰、温暖化対応、安全安心な食糧供給と化学肥料・農薬のバランス、大型機械の購入、
 一等米は、R5年度6000円/30㎏、R6年度8000円/30㎏
 燃料費の軽油、軽減税率で50円/L⇒100円/L さらに値上がり傾向
 化学肥料 3000円⇒4000円/20㎏ 50袋必要⇒4000円x50袋=20万円
 反収は7俵(1俵は60㎏)/反 1反は1000m2 10反が1町歩(1ha)
【水田耕作が5ha, 50反とすれば、50x7x8000円x2=全部一等米として560万円ほどの収入?】
 コメの色付きの色彩選別機、エアとカメラで色付き米を除く、機械は高いが、これを使わないと2等米、3等米になって値が下がる、悩ましい。
 一発肥料を反あたり30~40㎏入れる:H10年代から普及、窒素・リン酸・カリ(NPK)を含み、プラスチックの被膜(粒)に入っている、温度により被膜がとけ、30~40日後にきくが、土中にプラスチック被膜が残る。
有機農業・環境配慮に関しては、ぜひ宇部市で考えてほしい、学校給食の食材に地元産を収めて普及を。反収を5~4俵/反に下げれば、無肥料・菌の力を使って循環型耕作ができるかも、手間を減らして。有機農業の米は高く売れる(2万円/30㎏)。
                        等々、様々な困難な状況がある由。
③供給:作ったものが地域近隣へ供給されているか?価格は適切か?
 JAの食品館、マルキ、アルクなどには地元産を売っているが、、
今年は米の買い占めで値上がり、米不足が心配だが、自主流通米は政府や農協がコントロールできない。
 など非常に重要な問題点が示されました。

最後に、新聞記事より2件の切り抜きが紹介されました。

一つ目は、日本農業新聞の記事で、県外からの移住者数が移住人口が過去5年で最多だった都道府県が、図で示されるように24県であったというが、小野茶は元気なく、100軒から今は10軒を切っているとされました。

また、同日の日本農業新聞の記事で、萩市佐々並地区では子育て世代を誘致して、住民主体で小学校守る、現地説明会の実施などに取り組み、あきらめなくて良かったとあるが、小野は厳しいとされました。

○質疑など
Q:小野地区で転入する人への住民の受け入れはどうか?
A:部落により違う。外からの受け入れはあまりない。

Q:空き家活用はどうか?
A:空き家バンクに出すだけではだめ。見て気に入って、住もうと思わなくては。

Q:住民5人のうち、一人が農業で食料生産して、4人が町の仕事(工業や商業など)をするといった考え方が受け容れられれば、食料生産は持続できそうだが。
A:??
C:そういった枠組みを考える必要があるのではないかと思う。

Q:小野瑚の水を守る会から、オリーブの栽培など経て、西岐波のみかん園を仲間と引き受け育てている。ミカンも大きすぎる(3L)と売れない。農業の窮地を知って何ができるか、消費者も自分事として考え、賢くなる必要ある。本当の農業の実態を知る。本質を見抜き行動することが大切。

C:宇部市の学校給食で北部は二俣瀬調理場に統合される機会に、地元産有機食材の導入を要望している。9月議会で質問したが、市長は前向きな答弁だった。

C:市内から小野に移住して、兼業農家をしているが、確定申告の際、100万くらい赤字になる。年金で補充、軽トラは経費で、年金があるから続けられる。野菜はもうかるが米は安い。

C:若い人が農業で自立する方法としては、ハウスなど施設園芸が多い。トマト・イチゴなど、天候に左右されず、単価が高い。

今回のサロンは皆様の関心のあるテーマでしたので、色々、熱心な議論がありました。
ご多忙の中、貴重なお話をいただきました、中村隆夫様に厚くお礼申し上げます。
                             (文責:村上ひとみ、浮田正夫)

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