2023年度特別サロン1「私の考えるSDGs」その3 ディスカッション
2023年11月12日
お二人のお話を終わった後の質疑応答の報告です。
なおいただきましたアンケートの回答結果は2枚目~5枚目の写真に示します。
・益田さんのお話100%同意です。とてもよかった。楠に移られてどんな経緯で今のようなお考えに至られたのか。
→東京で1980年代から4,50年ずっと取り組んできたが、どうも東京では、言っていることと、やっていることが全く違うんではないかと思われたりして居心地が悪かった。自然の中で仕事できるような場所を探していて、たまたま来たのが山口だった。電気ガス水道もないオフグリッドな場所を見つけて、これだと思って、仕事場を移すことにした。どこも自然は同じだと思うが、せかい動物かんきょう会議にしても、またこういうところにも呼んでいただいたり、よく理解してくれる人も多くてよかったと思う。
・今回参加してみようと思ったのは薄井先生のFBで今日の1枚目のスライドに示された、「人として最も大切なこと」を見たことです。子どもたちに接することが多いので、大事に活かしていきたいと思います。また益田先生のお話は全て衝撃的なことばっかりで、感謝いたします。本音で語っていただいてありがとうございました。
・薄井先生のお話の中で、日本の研究力がどんどん衰退していると言われたが、他の国から、優れた研究を外国から取り入れることもできるのではないか。具体的にどういった問題があるのでしょうか。
→現役時代20年くらい前、大学の修士論文を大学図書館に収める習慣があったが、中国の留学生はそれをコピーして本国へ送っていた。その対策として学会発表が終わってから図書館へ収めることにしてガードを固めたことがある。今は海外の情報も利用しやすい時代になってはいるが、いずれにしても直接海外の研究者と丁々発止のディスカッションができるような力を身につける必要がある。そのためには大学でしっかり勉強してそういった力も付ける努力が必要です。
関連してネットの様々な情報について、とくに将来予測の情報も含めて、その信頼性、ファクトチェックができる力も大事だと思う。
関連して、オンライン参加者から以下のようなコメントがありました。
・国力維持のためにはイノベーションによる技術力を高めることが大事、下請けではだめ、
・これからは、日本は経済立国から文化立国かと思うのですが。
C;大学の研究力の低下はわれわれも感じているところだが、それが国力低下につながるのは当然のことと思う。ファクトチェックの話が出てきたが、12月ごろに若い人達の自由な意見を聞く「銀天カタリバ」を企画しているが、その中のテーマの一つとして薄井さんがとり上げられる予定、その他、益田さん、津島さん、加藤さん、大濱さんにも協力をお願いしている。
・「環世界」のお話の中で、生き物たちは自分たちの子孫繁栄のために生きていると思うのですが、人間たちの世界では、自分たちのことだけを考えて生きているような気がします。どうしてそのようになったのかと思います。
→すごく深い質問です。昔から文化人類学者の間にはそういうことを考える人も多かった。文明と距離を置いている未開の人たちはあなたが疑問を持つように、動物に近い生き方をしている。30何億年とかいう歴史からみれば、この人間世界はほんの一瞬にすぎないと考えたほうがいい。
・益田先生の話を聞いて、頭がひっくり返ったような気がするが、我々人間は自分たちの生活を豊かにするために科学技術を発展させてきた、ITにしても原子力、医学にしても。しかし何百年先に、人類は滅亡するのではないかとの危惧がある。GDPの低迷、人口問題などの身近な問題はどうなのか。一方で地球が住めなくなれば火星に住むことを考える人もいる。われわれはどういう方向に行かなければならないのか、今日わからなくなったというのが正直なところです。
→薄井さんの「権力にしがみつかない、お金にとらわれない・・」に答えは出ているではないですか。
・しかしそれがなかなか浸透してコンセンサスにはならないですね。
→私の場合、変な話ですが、山口に来るときに仕事をすべて断って、いま月給6万円くらいで、何とか暮らしていけるような生活をし、それ以上の仕事はしないようにしています。要は、全体のボリュームを下げてきちんと生きていけるかということで、実は日本人が得意なところです。粋(いき)だとか・・。若い人たちはきっとわかっているんだと思う。だから、必要以上に勉強もしない、働かないのではないか。
・しかし先生のような生き方をできる人は少ないのではないでしょうか。そこをどうしたらいいかということです。
C:確かにそうですね。長年にわたって、生存競争を生きてきた、その生き方を改めていかなくてはいけないということですから、そう簡単ではないことです。今、それだけ難しい時代であるということだと思います。
・私の夢はデザイナーなんですが、益田さんが話された「環世界」について、例えば友達との仲がうまくいかなくなったとき、相手の立場になって考えることで、いいアイデアが浮かぶのではないかと思ったりします。何かいいアドバイスがあればお願いします。
→すばらしいね。昔、デザインの意味を調べるのに、古い英語の辞典を調べたときに、例文として、女の子が学校へ行きたくない時に、お母さんにも、先生にも分かってもらえるいい口実を考えると書いてあった。君が言ったように人と争わないとか、それをみんなが納得するような方法で伝えていく、それがデザインなんです。ぜひうちの事務所にも来てください。
・目標については、達成度を測る評価基準が必要です。経済力や国力を測るのはGDPといった評価基準があるが、SDGsにはしっかりした評価基準がないのが問題ではないか。
→U: 生きていくこと、その中でどれだけ幸福感があるか、といったような評価基準が必要だと思う。
C:ESDが進まないのも、しっかりした評価基準がない。知識教育のように、数値で表すことが難しいということもある。津島さんもESDに熱心に取り組んでこられているが、すでに試みられているように、しっかりして工夫した詳しいアンケートを取組前後にとることによって、短期的でもある程度の評価が得られるのではないか。
→M::すこし話はずれるが、動物達に聞くSDGsは全部SDGs批判です。世界中でSDGsにまじめに取り組んでいるのは日本だけです。インドはすごく嫌っていますし、アフリカのいろんな国でも同様、たぶんロンドンでも誰に聞いてもわからないです。日本で国会議員や社長がSDGsバッジをつけていると、「あれ何だ?何の新興宗教なの?」って言われる。
SDGsは国連の常任理事国が提唱したもので、逆説的だが、Animal SDGsはそれに対して批判的に、「え?こうじゃないの」というためのプロセスです。
・色々知らなかったこともあり参考になりました。気候変動もCO2以外にも太陽の黒点の変化による寒冷化の方が問題だという指摘もある。少子化、食料自給の問題、SDGs Goal 18 を加えるべきということ等々、その中でも少子化が一番問題だと思う。
→M:世界中で80億人は地球のキャパシティを超えているといわれる中で、少子化が問題だと言っているのは日本だけです。日本の適正な人口が5千万人だとすれば、それでやっていけるやり方を考えるべきだと思う。
→U:長期的な見方も大事だが、短期的には少子化が日本の国力を考えるとき当面大きな問題と感じている。世界に伍して競争に勝っていくためには、しっかりした人材を育成していくことが必要であり、そのためには教育が大切だと思う。現在のような平等主義というか、覇気のない人間を育てるのではなくて、必死になって頑張って引っ張っていける人間を育ててほしい。わたしも遺言として本を書いて、自分の生き方を確認し、世に問いたいと思っている。
この度の特別サロン1、用意したWifiの容量不足のために、オンライン参加の方に途中途切れるなど大変ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします。
そのためもあり、やや詳し目に記録に残させていただきました。
会場参加の方々には満足していただけたようで、最後のお二人に対する感謝の拍手の大きさに表われておりました。
末筆ながら、ご多忙の中、貴重なお話をいただいた両先生、お忙しい時間に対面あるいはオンラインでご参加いただいた皆様に厚くお礼申し上げます。(文責:浮田)
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