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「黒潮消失から始まる日々」第2部の紹介
2022年04月27日
海洋の大循環の模式図
(深層水と表層水の流れが一体となって海洋全体をつなぐ)
本書の第2部では、現在より半世紀後の近未来において、地球温暖化の行き着く先は、黒潮消失が魁となる海洋の大循環における深層流の消失と、氷河期の到来であったと言うストーリーを設けました。地球環境の激変の時代に、人々はどう生きていくのか、この人たちに救いはあるのかを、四国の庄内半島を舞台にして描いていきます。また、私たちの生きるビジョンの持ち方と、心の安穏は何処にあるのかを語ります。
地球温暖化による私たちの環境の激変は人類の生存そのものを脅かす事態を引き起こすであろうと思われます。SDGs (Sustainable Development Goals)が毎日のようにマスコミで騒がれていますが、SDGsが何かの免罪符のように扱われて、人々が本当に取り組むべき方向は何なのかと言う点の検討は不十分だと思われます。著者は地球の持続的発展を真剣に読者に考えていただきたいと考え、黒潮が消失する事態を想定して、庶民が慌てふためいて右往左往する状況を描きました。色々な政治形態があり、現在の各国の状況を考えると、二酸化炭素濃度は今後も当分増え続けるであろうと考えます。二酸化炭素濃度があるしきい値を超えると地球環境の別の安定解に移って、氷河期が到来するかもしれない、あるいはもう既にそのしきい値を超えてしまっているのかもしれない可能性があります。著者は一旦表層流から深層流への沈み込みが止まると、深層流の地球を循環するタイムスケールよりもずっと早く深層流パターンが変わってしまうと感じています。それ故、50年後に黒潮が消えてしまう事態が起こることも、あながち夢物語でないかもしれません。
地球環境の激変が起きるまでを今から半世紀のタイムスパンとすると、それまでに世界の政治情勢はどう変化しているでしょう。ロシア革命や中国の辛亥革命のような激変が起こるかどうかは、両革命の前夜における帝政ロシアの貧民層や清朝末期の中国人民の悲惨な状況が再来しているかどうかに依存すると思われます。資本主義的自由主義諸国においても富の偏在が今よりも著しくなって、貧困層の革命意識が鎌首をもたげてくるかどうかに依存するでしょう。
著者は今後半世紀の期間では、資本主義や覇権主義の矛盾が、地球環境の激変の中でますます明確に露呈されてくると思っています。しかしながら、未だ世界的な革命には至らないであろうと予測しています。それ故、本書に描くように庶民は将来のビジョンも持てずに、右往左往するでしょう。そのような状況の中で、人々は何にすがって生きてゆくのかを想像しながら、筆を進めました。庶民の大半は、おろおろしながら周囲の人たちと身を寄せ合って生きて行こうとするでしょう。本書に描かれた人々の状況を歯がゆく思う読者は、今から地球環境の激変に対処すべく、持続的な発展を目指す社会変革の道を歩んで欲しいと思います。
また、読者諸氏におかれては、よく言われる「孫や子供の時代に残す私たちの地球」よりも更に遠い近未来(例えば50年後、あるいは70年後の近未来)において私たちの曾孫たちや玄孫たちが活躍する場を考えて欲しいのです。このような近未来における地球環境と社会の状況を予想して、読者それぞれのアナザーストーリーを描いて、そこに重大な危機を見出すことが、読者諸氏を地球環境に対するより積極的な行動に導き、幸せな生き方を見つける方策となるであろうと考えます。
NPO法人うべ環境コミュニティー 理事 薄井洋基
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