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山口宇部パワー(株)西沖の山発電所新設計画が取りやめが発表されました。
2021年04月17日
2018年9月に環境影響評価準備書が提出され検討されていた火力発電所の計画取りやめの発表が4月16日に行われました。
これを機に、しばらく遠ざかっていた脱石炭火力の動きや、世界の温暖化対策の状況について、2回に分けて、振り返ってみました。
まず、最近の新聞記事から英国とカナダの呼びかけで開催された「脱石炭サミット」で国連事務総長が産業革命以降の気温上昇を1.5度に抑えるために、OECD加盟国に2030年までに石炭火力の全廃を求め、G7には6月の首脳会議までに具体的な廃止計画を示すべきだとした。
これまで日本は2030年度における、一次エネルギー供給、電源構成における石炭の割合をそれぞれ25%、26%程度とし、石炭をエネルギーの安定供給や調整電源として位置づけてきている。
また石炭産業への融資額の多くは日本系の銀行であるとされ、厳しい目が向けられている。
この図は、石炭火力発電におけるCO2排出量の比較を示したものであるが、西沖の山の計画ではバイオマス混焼や臨界方式の採用が予定されていた。
また、ゆかりのインドネシア国リアウ州ブンカリス県とのCDM(クリーン開発メカニズム)の利用や、排出権取引の可能性も検討してほしかったところであるが、石炭火力に対する逆風は世界的によりきびしいものとなり、今回中止の決断になったようである。
ところで、1994年から2019年までの世界の一次エネルギー消費量の推移をみてみると、総消費量では約1.6倍に増加しており、約85%が石炭を含む化石燃料に因っている。
石炭だけを悪者にするのも考えものであろう。
先の図で、石炭ガス化発電の排出係数は600kgCO2/kWhであり石油火力の日本平均695kgCO2/kWhよりも優れている。
もちろんコストはそれだけ割高になるだろうが、本来、電気を使う側が、それだけの負担を覚悟しなくてはならないということであろう。
さて、次の図は、2018年末に開催されたCOP24の時点での各国の温室効果ガス削減目標と主要国のCO2排出量の割合を示している。
それぞれ、基準年が異なっていたり、その時点での削減度にも違いがあるので、一概に比較は困難であるが、CO2排出割合が28.4%を占める中国はGDP当たりの排出量であったり、発展途上にあるという立場を利用して、安易な目標になっているようである。約7%を占める第3位のインドも同様である。
また約15%を占めるアメリカも温暖化対策に後ろ向きであったトランプ大統領の下、低い目標になっている。日本も26%という低めの削減目標となっている。
(その2)につづく
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