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私の読書感想 2020.7 梅原猛著「仏のこころと母ごころ」小学館文庫の感想(その2)

2020年07月08日

私の読書感想 2020.7 梅原猛先生著「仏のこころと母ごころ」小学館文庫 2006年11月刊 の感想(その2)です。

Ⅰ部第3章では、少年の夢が語られています。

幼少期の体験をバネにして、良くも悪くも大仕事を達成する人が多いようですが、梅原先生は親交のあった日本初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士も、成績優秀な兄弟と比較されて、それが優れた業績を残されることに繋がったとされています。

やはり大きな仕事を成し遂げるためには、孤立することを怖れない勇気と粘りと執念が無ければならないと言うことです。

いま、私達は持続可能な発展のための教育(ESD)の推進に力を入れていますが、梅原先生はずいぶん前から、「今こそ創造的人間が求められる」と言われています。

超エリートから一般市民レベルまで色々なレベルの差はあると思いますが、これからの時代を切り拓き、持続可能な社会を実現するためには、すべての人が、自ら考え、自分なりに、自分の良いところを活かして、やれることをやる、そういう人材を育成していくことがとても大事だと思います。

そのためには、単にいい成績をとっていい仕事に就いて、自分の事だけ考える人間を育ててもだめということです。

21世紀、人類の文明が持続できる形で維持できるかということは簡単ではないですが、すべての市民がそれを意識して、新しい文明を作るんだという夢をもつことが求められます。

そのためには政治、経済、企業、教育、医療等々すべてが変わらなければならないと思います。

これまで、ESDにおいても、道徳性・倫理性の復活や価値観の見直しのためには幼少期の義務教育の中で、こども達全員に行うことに最大の関心が向いていましたが、この部分を読んで、そのリーターシップがとれるエリートの育成も重要であるし、その面では、社会教育も含めて、全方位的にESDの推進を図ることが必要であることを認識することができました。

人類の歴史の中で未だかつてなかったこの時代、ある意味では大きな夢を持つことができる時代であるという、梅原先生の前向きのメッセージには大きな力をいただいた気がします。

なお補足的に、第二部306頁の一部を紹介していますが、宮沢賢治が、熱心な真宗門徒の父親に反して、日蓮宗に転じた理由として、親鸞の悪人正機説に違和感を感じ、文学を通して、菩薩行の実践に傾倒したことが紹介されています。

また、四弘誓願は、利他心の大切さ、悪い煩悩を絶つこと、仏教の元々の教え等、学ぶことに限りがないこと、そしていずれ悟りを得たいという願いを表しています。

いろはうたは、一節には弘法大師がつくられたとも言われますが、人生の終盤を迎えますとこのような心境にもなれるようです。

これからの多文化共生の時代、仏教だけではなく、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥ教など色々な宗教があり、それぞれの良さもあります。単に仏教のみということではなく、これらも含んだ宗教教育もいかに生きるかという観点で、道徳教育の一環として教えられるべきではないかと思います。(文責:浮田)

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