第3回ESD研修会(その2)学校の立場から海頭先生のお話です。
2019年10月31日
藤山中学校の海頭 巌先生からは、学校側の立場から、「持続可能な取組に向けて~パートナーシップの深まりと広がりをめざして~」という演題でお話ししていただいた。
まず、2017年の創立70周年を機に取り組んだ緑化活動の成果として、学校花壇が先月、宇部市花壇コンクールで市長賞を受賞したことが紹介され、藤山中学校区の「ハウステンボス」と自賛された。左下の写真は整美委員会のメンバーである。(https://ubenippo.co.jp/2019/09/20/64092/)。
栽培については地域に住まわれる専門家古谷さんに指導をお願いして、生徒が直接学ぶ機会を作られている。例えば、現在の学校の土壌には菜の花はよく発芽し育つが、コキア、芝桜などは雑草に負けてうまく育たないことなどが分かった。
また、収穫した菜種から菜種油を絞るため、搾油機を探しまわって借り、油を搾った。油は、郷土料理の「ケンチョー」を地域住民の料理指導を受けて生徒が作るための食材として用いた。また油粕も肥料として有用であることを学ぶなど、幅広い総合的な学習を展開されている。
藤山中学校は、校訓として「自主独立」を掲げ、学校目標として、「皆が生き生きと活動する学校」 ~全員で、主体的に、最後まで~ が上げられ、ESDの精神が入っている。また、藤中3本柱として、「あいさつ」、「時間厳守」、「校内美化」、今年度とくに大切にしたいキーワードとして、「意識」、「元気」、「熱」が上げられている。
さて、昨年度から、藤山中学は宇部市の環境教育推進校に指定されたが、緑化運動だけでは行き詰まり感があった。
https://www.city.ube.yamaguchi.jp/machizukuri/kankyouhozen/kankyoukyouiku/modeljigyo.html
そこで、昨年度、宇部市がSDGs未来都市に認定されたこともあり、SDGsに着目することになる。ESDはなじみが薄かったが、SDGsについてはかなり社会に周知され、生徒達の反応もよかった。
昨年度の段階で、菜の花の栽培、菜種油の搾油、それを使った郷土料理づくり、菜種油絞り粕の肥料など、総合的な学習が行われたのは先述の通りである。
ただ、よりよい学校づくりのためのアンケートの昨年度の結果では概ね非常に成績が良かったが、一つ、3年生の生き生き学校生活をしているかの回答が81%と低かったのが気になった。
そこで、SDGsを前面に出した働きかけを始め、教職員、生徒、学校運営協議会でも積極的な説明を行い、色々動いた結果、今年度のアンケートでは、学校に行くのは楽しいという回答が4月に84%、9月に91%と改善が見られた。
写真左下は、SDGsマークをつけてある海頭先生のカバンである。生徒達は非常に興味を示したそうである。
宇部市SDGs推進センターの小檜山理事も9月に講演をされたそうである。
SDGsの中では、とくに「環境」と「人権」に重点を置きつつ、全体的に「パートナーシップ」を重視することとした。
各クラスでも、それぞれ重点目標を選択させた。
広い意味でのパートナーシップとして、厚東川の一番下流域にある藤山地区と一番上流域にある秋芳町とのつながりと言う意味で、秋芳中学校および美祢ジオパークに働きかけ、5月10日を「厚東川の日」と定められた。
河口域から上流域まで、グーグルマップを使った動画を示されたが、生徒達にも説得力があるだろう。自ら2日にわたり水源を訪ね、先日のニコルさんの講演の中で、「水のわらい声」というのがあったが、白糸の滝のせせらぎの音はそんな感じであった由。
学校と地域、地域と地域など、やはりトップセールスが重要であり、海頭校長の熱意あるリーダーシップによって、これだけ活発な動きがとれたのではないかと思われる。
SDGsに関する書物を図書館に集中展示、藤山中の3本柱「あいさつ、時間厳守、校内美化」をブランド化する、文化祭で取り組みを発表する、自らSDGsマークをつける等、学校内での持続可能性を追求する手段を繰り出している。
どういう人に、どういう協力をお願いするのか、だれにターゲットをあてて働きかけるのか、明確にして動くことが大事とも。
しかし、どんな良い活動も環境教育推進校などとして持続するには必ず手詰まり感・行き詰まり感が出てくるという。様々な工夫で「情熱とぬくもり」“HOTTO”と「深化と進化」“MOTTO”で頑張っていると、「校区のハウステンボス」同様、ダジャレも交えて語られた。
溝田幹事の感想:
海頭校長の熱意・工夫と行動力に圧倒される思いであった。討論の中の発言にもあったように、この内容は、この研修会で20名足らずが聴くにはもったいないので、もっと多くの方に聞いてもらう、又は文章にまとめて公表されるべきであろう。
学校の厚東川プロジェクトを推進するにあたって2日続けて川の源流を訪ねるなど、お忙しい身でなかなかできないことであったろう。
「持続するには手詰まり感・行き詰まり感が出てくる」と述べられたが、例えば、土壌改良の可能性;対岸の黒石校区との連携;厚東川本流以外の支流地域との交流;このプロジェクトの中で育つ生徒の意識・認識などの把握の方法の検討;など発展のための萌芽も沢山感じられた。
総合討論でも、お二方の、取組について、大変勉強になり、これだけの少人数で聴くだけではもったいないとの感想が多かった。お忙しい中、貴重な時間を割いていただいた寿恵村さん、海頭さんに厚く御礼申し上げます。
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