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パブリックディベート大会が開催されました。

2018年12月24日

12月22日(土)にESDうべ推進協議会主催のパブリックディベート大会が開催されました。以下において、その準備段階から順を追って報告します。

1. ディベート大会の準備段階
今回のディベート大会では、テーマを【ごみ問題と豊かな生活が両立する「生ごみ減量アイデア」と「ありたい宇部のライフスタイル」 とは】としました。環境問題に関連して、若い人たちがディベートを戦わせることが大事であると考え、うべ環境コミュニティーの山切氏をコーディネータとして参加可能な高校、高専、大学などに声掛けを行いました。その結果、以下の4チームが参加の意向を示されました。
⑴ 慶進中学校・高等学校(以下 慶進高)
⑵ 宇部工業高等専門学校(同 宇部高専)
⑶ 宇部フロンティア大学付属香川高等学校(同 香川高)
⑷ 山口学芸大学(同 学芸大) 
上記の山切氏に加えて、慶進高から古川先生と西山先生、宇部高専から川辺先生、香川高から縄田先生に企画委員として参加していただき、ESDうべ推進協議会の薄井事務局長も加わって全体企画を検討しました。ESD・環境教育の一環としてのディベートに限らず、SDGsの切り口も加味して、社会に対する若い人たちの政策提案の試みが実現する内容とすることに配慮しました。その結果、テーマとして
① ごみ問題と豊かな生活が両立する「生ごみ減量アイデア」
② ごみ問題と豊かな生活が両立する「ありたい宇部のライフスタイル」
の2テーマを設定しました。各校に投げかけた結果、
「生ごみ減量アイデア」については、香川高と宇部高専のチームがディベートの準備を進め、
「ありたい宇部のライフスタイル」については、慶進高と学芸大のチームがディベートの準備を進めることとしました。各チームは、それぞれの政策提案内容を検討しますが、相手チームの提案内容はディベートの場で初めて知ることになります。

2. パブリックディベート大会の内容
日時:平成30年12月22日(土)13時~16時30分
場所: ヒストリアうべ 交流ホール
開会の挨拶及びパブリックディベートの特徴と運営の説明に続いて、以下のプログラムに従って2試合のパブリックディベートが行われました。
 ➀第1試合 13:15~14:05(50分)
テーマ A 「個人や家庭レベルでの自分自身の生活や宇部市の在り方を振り返りつつ2030年代におけるごみ問題と豊かな生活が両立する「ありたいライフスタイル」を自由に想像、提案し、そのライフスタイルを宇部市が実現するために宇部市が採用すべき「ユニークな政策」を提案する。」、について、学芸大(先攻)と慶進高(後攻)がディベートを行いました
学芸大チーム(先攻)は、「2030年に、宇部市の全家庭においてAI冷蔵庫に完全移行を目指そう」と言う提言を発表しました。AI冷蔵庫に収納する食品の内容、賞味期限などを把握して、賞味期限が迫った食品を使ったレシピの提供など、食品ロスを減少させることにより、ごみ減量に貢献しようと主張しました。この提言に対して、後攻チームはAI冷蔵庫の普及におけるハードル(価格の問題、買い替えのチェックのための行政の市民への呼びかけと巡回体制)やAIの内容の確認などの指摘がありました。先攻チームは、これらの指摘に対して完全移行を実現するための宇部市からの補助(早期買い替えについては2万円/1件、古い冷蔵庫の買い替えには1万円/1件)の提案、AIの内容の追加説明などの論点整理と政策再提案を行いました。
 慶進高チーム(後攻)は、「環境のためにエココポイント普及活動の推進」を提言しました。自ら進んでエコ活動をすることの重要性を強調して、ポイントゲットのためのアプリの開発、エココポイントの還元の内容などについて提案を行いました。また、エコミッション活動として、AI機能を持つごみ箱の普及を提案し、これによってごみ減量を目指すとしました。この提言に対して、先行チームはエコミッションの具体例を追加説明すること、エコポイントの還元が特定の層に偏らないことの重要性を指摘しました。後攻チームは、より広範囲の還元グッズの提案、ごみ箱普及の方がより安価で、CO2排出削減にはAI冷蔵庫普及よりも有利であることなどを、主張しました。
 ➁第1試合の審判  14:05~14:15
ディベートの審判は、「会場の聴講者が目を閉じて挙手する」ことにより行いました。但し公正を期するため、ディベート参加チームの関係者は審判員に入れないこととしました。関係者とは、参加校の生徒、教員、参加者の家族、友人等を言います。全国教室ディベート連盟の古川中四国副支部長の、第1試合の内容に対する講評に続いて、出席者の挙手によって審判を行った結果、僅差で学芸大チームが勝者となりました。

➂第2試合  14:20~15:10(50分) 
テーマ B 「宇部市が、市全体の環境施策として、「生ごみの減量」に取り組むことを可能にするための仕掛けを提案する。」について、香川高(先攻)と宇部高専(後攻)がディベートを行いました。第2試合では両チームがホワイトボードに提案内容のキーポイントを提示して視覚的にも出席者に訴える試みを行いました。
香川高(先攻)チームは、「残さないものには福がある」をキーワードに、食育の強化・LINE公式アカウントの作成・もったいないの自覚が大切であることなどを提案しました。この提言に対して、後攻チームは、LINE作成は誰が担当するのか、独り住まいの家庭を含めてこの活動が広く普及していくためには何が大切か、などの点を明確化することが大切だと指摘しました。先攻チームは、これらの指摘に対して宇部市全体への全体的な広がりを可能とするためには、年配の方々の参加による食育活動の推進と、子ども達が食育効果を各家庭に持ち帰って家族の意識改革を行うことの重要性を再確認しました。また、広い広報を目指すために若手のLINEの情報伝達を広げていくことを強調しました。
 宇部高専チーム(後攻)は、「ごみ減量に有効なレシピのアプリ開発と普及活動」を提言しました。エコ活動を行う前後の家庭ごみの分析活動から。水切りによる生ごみの水分減量は良い結果が出なかったことを踏まえて、ごみ減量に有効な自作のレシピを投稿し、広く市民が活用できるアプリの開発を目指す活動を提案しました。この提言に対して、先行チームは、アプリ製作者は誰か、ごみ減量プロジェクトの情報をアプリに含める計画があるのか、レシピの内容はどのようなものか、などの質問と指摘を行いました。後攻チームは、アプリは宇部高専にアプリ政策の得意チームがあること、より広範囲のアプリ普及のためにSNS活用の重要性を加味した、政策の再提案を行いました。また、作成中の環境活動のキャラクターの提案も行いました。
③第2試合の審判・休憩 15:10~15:20
ディベートの審判は、第1試合と同様に「会場の聴講者が目を閉じて挙手する」ことにより行いました。全国教室ディベート連盟の古川中四国副支部長が、第2試合の内容に対する講評を行い、続いて出席者の挙手によって審判を行った結果、香川高チームが勝者となりました。
なお、事務局より第2試合の2チーム(宇部高専、香川高)が行う政策提案(テーマB)は、宇部市に対してプレゼンを行う予定であることが公表されました。(実施予定日時は平成31年1月16日(水)17:00~17:45)

3. 第2部 総合討論会
【報告その1】 うべ環境コミュニティーと宇部環境国際協力協会(宇部IECA)及び宇部志立市民大学環境学部OB会が10月9~10日に実施した「水俣市の生ごみ分別収集の実情について」の調査結果報告が行われました。報告は宇部環境国際協力協会 事務局長 古林 隆司 氏によって行われました。(15:25~15:35)
 水俣市において実施されている、高度ごみ分別の方式とその効果、事業所についても分別の義務付け、生ごみ処理容器(キエーロ)の無償貸与実施、などについてその詳細が報告されました。生ごみ処理容器の材質(木製)やその効果について会場から質問があり、段ボールコンポストより材質の面で有利であり、長期使用でも問題がないことの回答がありました。

【報告その2】 ESDうべ推進協議会が上宇部中学校および地域の方々との協力によって7月21日に開催した「上宇部食育プロジェクト」の進行状況についての報告が行われました。報告はESDうべ推進協議会 事務局長 薄井 洋基 氏によって行われました。(15:35~15:45)          
この事業では、食育を通じた地域の人たち、子ども達、留学生とその家族との交流の輪を広げる中で、台所ごみの減量に有効な方策を話し合い、ごみ減量の実現に向けた試みを各家庭に普及させていくことを目指します。食育イベントは上宇部校区の方々と上宇部中学校のご協力のもとに、7月21日(土)に第1回を開催しました。参加者は留学生とその家族が18名、上宇部中学校の生徒が12名、その他教員と一般の方々の参加者13名、合計43名でにぎやかにワークショップを開催しました。また、第2回は平成31年2月に上宇部中学校と上宇部小学校の合同食育イベントとして実施する予定で、準備を進めています。

【討論会】(15:50~16:20)
司会の薄井より冒頭、以下のコメントがありました。
「今回のディベート大会は、ごみ問題に焦点を絞ったので、議論がかみ合い、前回に比べ、より内容的に優れたものになった。又、相互の弱点補強の提案もあり、パブリックディベート技術としても進歩したものになったと思う。」
各チームの代表者2名と、事例報告の報告者が前席に集合し、「それぞれが提案した政策の最も強調したい点を再度、言って欲しい」との司会からの要請がありました。これについて、各校より纏まった発言はありませんでしたが、質疑応答の形で、司会の提案の趣旨(ディベートを補完)を実行することが出来ました。
⑴学芸大 
 ➀冷蔵庫の買い替え時期はどのくらいになっているか(10~12年間くらい)
 ➁AI冷蔵庫の価格は?(60万円くらい。高価だが薄型TVの例のように次第に下がっていくことが十分考えられる。)
⑵慶進高
 ➀エコミッションについてアプリの利用と宇部市との関係、宇部市の立ち位置は?
.(あくまで自主的な対応に徹すること。そのモチベーション(「エコはお得ですよ」)のためのアプリ。市は市民押し付けにならないように。自主的な盛り上がり、これが一番。
司会より「市の関係者はこの席では言えないかもしれないが、プレゼンではよく意見交換して欲しい」と要請がありました。
➁エコポイントの使用上の不正の心配は?(ごみ箱、コンビニごみの使用等)
(基本は市民の良心か)
⑶香川高
➀食育による意識喚起、広まりは?
(食育で学んだこと(残飯の減量等)の「当たり前化」と「(教育成果の)家庭への持ち込み」)
⑷宇部高専
  ➀レシピによる減量策の基本は?
  (レシピによる料理の工夫⇒「食べ残しを出さないこ
⑶+⑷に関して、関根氏より、「香川高と宇部高専のディベートを聞いて、『残飯が問題(香川高)』と『作った料理が問題(宇部高専)』が対立点と思ったが、ディベートでは、その点の突っこみがなかったように思う。純粋にゴミ減量化という観点に立った場合、どちらがより有効かについてのコメントはあるか?」との質問がありました。これに対して、双方より本質的なコメントはありませんでした。かなり広範囲のデータを掘り下げて分析してからでないと、この質問に対する回答は出ないと思われました。
◇会場から「藤山小」の減量教育の紹介がありました。
食育で「基本的に出されたは食べ尽す」を教え込む。個人差があるので、食べる前に個人的なやり取りで量の調整を行う。こうしたことにより「食べ残し」は殆どなくなった。小学生も頑張っていることを伝えたい。
◇浮田会長のコメント(最終段階で来場され、司会(薄井)の求めに応じ話されました)
殆ど聞いていないのでコメントは出来ない。ESD推進協議会では、「自分で考え、試行錯誤し行動し、失敗したら新たな挑戦をする」そうした人材を育てていく心つもりでやっている。その意味からすると、今日、出たアプリ、レシピ、マニュアルと言ったものが、きちんと整備されていることが必要、そういうことでなく、私は感性的な人間なのかもしれないが、「もったない」とか「食べ物は人にとり命だから無駄にしてはならない」とか、そういう気持ちがあれば、そこからいろんな工夫が出来ると思っている」、

討論会において、会場の聴衆からの質問や意見を加えて、それぞれの政策をポリッシュアップすべき点の意見交換が行われました。一般聴衆からの意見に対するディベートチームの応答が主ではないかと予想していましたが、高校生・高専生・大学生相互の意見交換が活発に行われて、提案された政策に磨きがかかったことは、予想以上の成果であったと考えられます。

今回のディベート大会は、高校生10名、高専生4名、大学生5名、行政・教員・一般参加者34名、合計53名の参加者によって、活発なディベートと意見交換が行われました。参加者各位に感謝しますと共に、会場準備などディベート大会の運営にご協力いただいた方々に深謝いたします。

文責 薄井

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