第1回環境サロン「ごみ減量について」の報告(その2)です。
2018年07月14日
続いて、友の会中国部の幹事をしておられる宇部友の会の粟屋千恵子さんのお話です。
広島友の会の食べられるごみの廃棄量の調査、水道使用量の調査や、環境意識調べの紹介、さらに、友の会中国部による、エネルギー消費量調べと、宇部友の会によるCO2排出量調査の結果について、紹介していただきました。
まず、食べられるのに捨てた食べ物ごみの量を調べた結果ですが、左上の図は1世帯1週間あたりの廃棄量が、主婦の世代別に示されています。
また、棒グラフの色分けしたものはその内容がご飯類か、野菜か、豆腐等常備の加工品かの内訳が示されています。
意識のある人達の集まりであることを反映して、1週間の間でもほとんど食べられるものを廃棄していない人から最大でも400g以下であることが注目されます。
世代共通の傾向として、個人差が大きいことがわかり、内訳としてはごはん類が、30代、40代の場合は、50代以上に比べて、ご飯類が多い傾向がある。
左下の図左側に、7月の1回目の調べと、8月の2回目の調べについて、全平均値が示されています。
1回目は1週間あたり100g弱、2回目は同じく85g程度と、いずれにしても一般の人達に比べると小さい値です。
同様に右側は2回目は注意をされて、160g弱から、55g程度まで大幅に改善された例が示されています。
食べ物を捨てない工夫として、冷蔵庫の整理、野菜の保存方法、買いすぎない、作りすぎない、もらいすぎた時は早くお裾分け、などなど、随分細心の注意が払われていることが分かります。
また、右下の、広島友の会安佐南の方々による環境チェック表でも、鍋帽子使用、非電化掃除、水道の水は鉛筆の太さくらいに絞って洗う、ペットボトルものはなるべく買わない、ラップフィルムはなるべく使わない、洗濯は粉石けん、など、さすがに随分気をつけた項目が上げられています。
次に、やはり安佐南の会員の方々による水の使い方調べの結果として、左上の図では、台所の後片付けの水消費量が3日間の平均値として、朝、昼、夜と詳しく、また世代別に示されていて、随分詳しいデータです。
大部分の世帯が、40㍑/世帯/日以下であり、世代別では40代、50代60代と少しずつ大きくなるような傾向があるが、70代、80代はまたやや小さめの傾向があります。30代はたまたま2世帯とも大きい値です。
上のグラフには、1ヶ月の世帯当たりの水道使用量を調べた結果が示されているが、平均的に15m3強で、世帯の構成人数が異なることもあり、やはり世帯差がかなりあります。
左下の写真は、右上のデータに関連して、食器を洗う場合の注意点を示されています。
先ず汚れを拭きとる、一つ一つの食器でも汚れの少ない部分から洗う、水道の蛇口は、水が鉛筆の太さに流れるくらいの水量に調節して洗う、など具体的に細かい注意が払われています。
右下のグラフは、前後しますが、次頁の広島友の会のエネルギー消費調べのデータを補完する意味で、宇部友の会で、調査されたCO2に換算したエネルギー消費量のデータが示されています。
棒グラフが2017年のデータ、折れ線グラフが2016年のデータであり、棒グラフで赤くなっているのは前年に比べてエネルギー消費が増えた世帯を示している。CO2量として100kg~600kg/世帯/年の値が示されている。
ガソリン消費量は含まれていないようですが、やはり一般家庭の平均に比べると随分小さめの値であることが分かります。
これらの図は友の会中国部の支部ごとの2016,17年の各1年間の電気使用量、都市ガス使用量、LPガス使用量及び水道使用量のデータである。
ちなみに、電気使用量は300~670kWh/世帯/年、同様に都市ガスは0~40m3/世帯/年(0は都市ガスがない地域)、LPガスは2.5~14m3/世帯/年の程度である。
中国部の平均値は、それぞれ電気413kWh、426kWh、都市ガス27.3m3、27.7m3、LPG8.3m3、8.7m3と、2017年は2016年よりも全体にやや増加しています。
この原因はおそらく冬の気温の差によるものと思われますが、実際、広島県三次市の1月~3月、11,12月の各月の2016年と2017年の日平均気温を比較すると、それぞれ、2016年は1.8、3.3、7.2および9.7、5.5℃に対して、2017年度は同様に1.8、2.5、5.4および8.1、2.4℃と、特に2月、3月、11月の気温が低かったことが原因しているのではないかと思われます。
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_a1.php?prec_no=67&block_no=0674&year=2016&month=&day=&view=p1
http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/view/monthly_a1.php?prec_no=67&block_no=0674&year=2017&month=&day=&view=p1
いずれにしても、年間の電気使用量が世帯当たり420kWhというのは、世帯当たりの電力消費が日本の平均値として200~250kWh/月とすると、1/7~1/5という非常に小さい値であることがわかります。
なお、右上のグラフはこれらの使用量調査に応じられた会員の割合であり、20%~70%平均47%です。
また右下には「友の会」の生活の姿勢、心構えが書かれています。
議論では、まず宇部消費者の会の藤本米子さんから、生ごみを減らす自らの経験として、以下のようなコメントが述べられた。
①基本的には、畑に穴を掘って埋めるのがもっとも効果的であり、確かに果物でも大きなものが収穫できること、
②次にじゃがいもでもゆでた後、皮を剥けば、廃棄率を小さくできるなど、工夫次第で量を減らせることができること、
③水分をきることで生ごみの重さを減らせることについて、まずぬらさない、野菜ごみや夏ミカンの皮や、レンコンのへたでも、ざるに入れて乾かすと、ずいぶん重さが減ること、
友の会の発表については、随分ごみ排出量や、エネルギー消費量が少ないこともあって、グラフの単位について確認する質問があった。
もともと家計簿の講習会からスタートした団体であるが、宇部友の会の会員数は現在87人ということで、結構若い会員の方もおられることに希望が感じられた。手作りパンの講習がきっかけで加入するケースもあるとのこと。
先輩の後ろ姿を見ながら、共働きの忙しい時期が過ぎれば、世話役の交替も期待できるのではないかというような感触であった。
最後に山口大学の関根先生から、宇部市減量等推進審議会長の立場から、宇部市のごみ減量の目標達成の難しさが指摘されたあと、前年度の卒論でやられた研究成果の一部として、ごみ排出量は都市ごとの産業構造などの影響も受けることなどが紹介された。ことに事業系ごみについては、受入料金によっては、寄りやすい隣接の自治体に流れるなどの傾向もあり、家庭ごみについても、ごみ収集有料化の検討がそろそろ真剣に議論される必要があるようにも思われた。
(文責:浮田)
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