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第2回環境サロン「人工光合成の研究最前線 ~持続可能な社会を目指す研究推進で、できたこと、できなかったこと~」の概要です。

2016年07月10日

7月2日 (土) 午後、山口大学工学部D21教室で、神戸大学名誉教授で、まちなか環境学習館館長の薄井洋基さんに表記のテーマでお話していただきました。
 学生さんや高校生などの来場も期待しましたが、あいにく高校の試験シーズンで、広報不足もあって、参加者の若返りはさほどではありませんでしたが、工学部関係者の参加が多く、実質的な議論ができました。
今回、録画したSDカードを紛失してしまったこともあり、記憶に頼るまとめになり、誠に申し訳ありません。例によって、かなり脚色があると思いますが、不適当な部分があればご指摘ください。
 なお、質疑の部分については、山切睦彦さんのメモをほぼ使わせていただきました。

 まず、演者の自己紹介として、香川県で生まれ、20歳で京都の研究時代、30歳で宇部の研究教育時代、50歳で神戸のマネジメント時代、70歳で宇部にWターン。とくに神戸大学の時代は後半、当時世界最大のスーパーコンピューター「京」の導入、それに係わる独立研究科の立ち上げや大型共同研究の組織化などに尽力された。
70歳を期に、これまでとは異なった社会奉仕活動に転身されたことも大変興味深い生き方です。

人工光合成の研究については、ご自身がやられたということではないですが、神戸時代終盤の共同研究の一環として、関わられたもので、究極の炭酸ガス排出抑制技術、地球温暖化防止のための持続可能な技術開発として、非常に注目されている研究です。
 光合成のメカニズム等については、詳しくは、演者による以下のうべっくるブログにまとめられていますのでご参照ください。 http://ubekuru.com/blog_view.php?id=3947

 光合成は、水を分解して酸素を生成する光化学反応(明反応)と二酸化炭素を還元して糖をを生成する暗反応からなります。19世紀の初め頃、CO2とH2Oがないと植物が生長できないことが明らかにされ、葉緑体の中でデンプンが出来ていることは19世紀の後半に、水の分解によって生じたプロトンと電子を利用して、糖が作られるカルビン回路については、20世紀に入って明らかにされました。

 酸化チタンの存在下、水から酸素と水素が生じる現象は1967年に東京大学の本多・藤嶋によって発見され(http://www.artificialphotosynthesis.net/honda/)、この流れをくむ人工光合成の技術開発も行われていますが、一方、近年は、自然界の植物の光合成を模倣するいわゆる「バイオミメティクス」の流れも盛んになっているようです。

 今回のサロンで紹介された、沈 建仁(岡山大学教授)、神谷信夫(大阪市立大学教授)らは、長年の研究の結果として、葉緑体の中で、明反応を司るタンパク質PSⅡの構造解析に成功し、その活性中心にMn4CaO5・4H2Oのゆがんだイス型構造があることを明らかにした。http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/research_highlights/no_59
なお、この研究成果は、岡崎市にある自然科学研究機構分子科学研究所の正岡重行准教授らによる鉄錯体触媒の開発につながっているようです
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160211/#YOUGO5)。

 これらの構造を明らかにするのに、電子顕微鏡より、もっと波長の短いSPring-8で作られるX線自由電子レーザー回折から、得られた膨大なデータの解析に、スパーコンピューター「京」が使われたということです。

「京」は、文部科学省と理化学研究所から2006,7年に設置場所の公募があり、神戸大学も関経連などとともに、薄井さんが中心になって応募され、神戸ポートアイランドの場所が採用されたとのこと。1120億円をかけて、2012年に完成した、当時、世界最速の計算機です。800台の高性能コンピュータからなり、200名の計算科学が専門の研究者が働いている。淡路島全体に相当するほどの電力消費があるため、別棟に巨大な冷却施設棟を備えているそうです。

 SPring-8のことや、PSⅡの構造解析については、やはり演者が紹介されている、うべっくるブログを参照してください。 http://ubekuru.com/blog_view.php?id=3949
http://ubekuru.com/blog_view.php?id=3958

理化学研究所計算科学研究機構では「京」を利用する重点分野として、①ライフサイエンス・医療・創薬、②新物質・エネルギー創成、③防災・減殺・地球変動予測、④次世代いものづくり、⑤物質と宇宙の構造と起源 を取り上げています。 

神戸大学も、「京」の誘致、稼働と並行して、統合研究拠点の設置が計画され、薄井さんは、その後の独立研究科の開設や、大学間の計算科学に係る人材養成協力体制づくりや、COI国プロの応募なども含めて、大学内外の調整に尽力されたようです。

神戸大学統合研究拠点は、学内を粘り強く説得されて、神戸大学単独予算17,8億円かけて設立されたもので、、グリーンイノベーション研究(バイオリファイナリー研究プロジェクト、先端膜工学研究プロジェクト)、ライフイノベーション研究(国際健康学研究、構造ベース創薬研究)、フロンティア宇宙研究(宇宙開発研究プロジェクト、惑星科学国際教育研究プロジェクト)、など、現在12の研究プロジェクトが動いているようです。

質疑:
1)ナノ級の小さな穴を.膜にどのようにしてあけるのか。
→ろ過のように単にコントロールすればいいもの、抵抗の大きなものを優先的に残すためのもの等、用途により仕様が異なる。

2)人工光合成の実用化はどのくらい進んでいるのか。完成にどのくらいかかるのか。
→どの段階を以って完成と言うのか明確では面もあるが、あと10年はかかると言われている。

3)人工光合成で、酸素と有機物を作るのであれば、自然界の植物の活用が手っ取り早いと言うことにはならないか。
→自然界活用も考えているし、CO2をそのまま分離し隔離する方法も考えられている。コストの面等、比較しながら、選択して行くことになるだろう。

4)自然の光合成の方がコスト的にうんと安いと思うが、人工光合成をやらねばならないニーズは何か。アマゾン、ボルネオ等の自然光合成の減少か、火力発電等によるCO2増対策か。CO2を地中の埋め戻すCCS( Carbon dioxide Capture and Storage)の技術が進みつつあると聞くが、どんなものか。
→CO2を分離して地中に埋める技術で、確かに一つの技術開発ではある。植物による自然光合成のサイクルは非常に大切では、生かして行かねばならない。問題は化石燃料により発生するCO2をどうするかということ対策の措置。一番、早いのは、これを分解して取り去り、それを原料に、酸素、炭水化物を作って循環させることが一番、有効と思われる。これが人工合成のニーズになっていると思う。

5)人工光合成による発電の話
→よく分からないが、可能性はあるのではないか?

6)人工光合成にしても、最終的に、人間は、コントロールできるのか。想定外が叫ばれている中で不安を覚える。
→無機質の触媒を活用する今の人工光合成ではコントロールは可能。遺伝子組み換えと言ったバイオの世界になるとその問題が出て来る恐れはある。

7)組織を作ったのはいいが、その組織を持続させるというのは結構難しいのではないか。
共同研究でも、多くの研究者を集めて、一つの目標に向かって行動させるのは非常に難しいのではないか。
→確かに難しい。動きながら方向を決めていくと言う面がある。チームの中でメンバーのベクトルを合わせることは出来るが、プロジェクト間のベクトルを合わせることは難しい。
「京」の誘致成功を契機にして、連携が活発になり、また大型予算も取れるようになった。産官学連携も進み、企業との共同実験施設の設置や、大型の研究費が得られる可能性も大きくなっている。科学技術イノベーション研究科も今年度から発足できた。
C:今年度、環境庁事業が認められ、250万円の予算がついた。これに伴って、我々も動かなくてはならないが、いろいろ新しい動きが出てくる。そのような効果がある。

8)はじめにいわれた、「あそびが大切」というのはどういう意味か。
→組織化について説得する場合、あまりリジッドに話を持って行くと、まとまらない。枠組み等にもある程度自由度が必要だ。

9)何故、神戸大学にスーパーコンピューターが設置されたのか。
→関東は避けたいとの空気があった。西日本の大学(京大、阪大、名古屋大、九大、広島大、愛媛大、金沢大)等の連携、連合体化を進めたり、関経連のサポートもあった。

10)大きい大学だからできたということがあるように思う。山口大学の場合は難しいように思うがどうか。
→東大や京大のように大きな大学では、学内の意思統一にかえって難しい面があるように思う。神戸大学の場合、学長の裁量権が強く、まとまりやすかった。小さい大学では、それなりにスケールメリットがあって、かえって有利ということもあるのではないか。

11)人の育成について
→若い人に「研究にとり大切なことは、30代になれば、メインテーマの他に、サブテーマを持ち、複眼的に余裕をもって取り組むことが大切」と言っている。50歳代になって、マネジメントをするようになったら、いろんな人材を集め人を見て、その長所を生かすアドバイスをして行く必要がある。

12)スーパーコンピューターの使い方として、金融商品のマネジメントをさせるなど、思い切った活用も考えられるのではないか。
→「京」コンピュータでは、全国共用施設の性格が強く、今までの所そういう発想はない。今後は、「京」の基幹技術がベースになり横展開すると思われる。即ち、金融工学の専用機、気象予報の専用機などが展開されると、精度はさらによくなる可能性もある。

13)CO2問題は確かに深刻な問題であるが、生命に一定の適応性がある。これに対し、地震は一瞬に命を奪う。スーパーコンピューターによる正確な地震予知は出来ないのか。
→地震予知は現在のスーパーコンピュータでも困難であると思われる。現実問題として「減災対策」が重要と思う。

14)持続可能性という観点から、人工光合成はいいとして、先端医療問題は、若干なじみにくい気がする。
→先端医療は、今後、将来性があり、カネが集まる分野だし、政府も非常に関心を持っている。しかし、持続可能の面から考えると確かに難しい問題がある。

15)地球の歴史の中で、安定した生態系に、それと大きく異なる化石燃料の燃焼によるCO2の発生を人類が持ち込んだ。その回収を植物に委ねているが、究極的には、今の生態系の中から、別の所に排除して行かない限り、この問題の解決はないのではないか。
→化石燃料問題がなければ、植物の光合成で足りたが、現実問題として、化石燃料が避けられない以上、それに伴うCO2対策として人工光合成をし、そこから作り出す有機化合物を経済活動の中で使っていくことは非常に重要だと思う。
                              (以上、文責:浮田)

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