ホーム  > お知らせブログ - 銀天エコプラザ > アーミッシュの謎 -現代社会における環境に優しい生活の選択-
うべっくる
イベントカレンダー
2024年4月
123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930
今月のイベントを見る
お知らせブログ
環境イベント情報募集中!

宇部市環境学習ポータルサイト「うべっくる」では、山口県宇部市で行われる環境イベント情報を募集しています。環境イベントに関する情報はこちらからお知らせ下さい。イベント情報を知らせる

-------- 2024年 --------

▼ -------- 2023年 -------- ▼

▼ -------- 2022年 -------- ▼

▼ -------- 2021年 -------- ▼

▼ -------- 2020年 -------- ▼

▼ -------- 2019年 -------- ▼

▼ -------- 2018年 -------- ▼

▼ -------- 2017年 -------- ▼

▼ -------- 2016年 -------- ▼

▼ -------- 2015年 -------- ▼

▼ -------- 2014年 -------- ▼

▼ -------- 2013年 -------- ▼

▼ -------- 2012年 -------- ▼

▼ -------- 2011年 -------- ▼

宇部市の環境学習施設
銀天エコプラザ ときわミュージアム 体験学習館「モンスタ」 アクトビレッジおの
銀天エコプラザ お知らせブログ

アーミッシュの謎 -現代社会における環境に優しい生活の選択-

2016年06月05日

 アーミッシュをご存じですか。
アーミッシュと聞くと、アメリカで開拓時代そのままの生活をしている人たちがいる、という記憶が頭の隅に残っている人も多いと思います。
アーミッシュの原点は1525年にスイスで始まったキリスト教の急進的な一派であるアナバプティスト運動にさかのぼります。カトリックでは幼児洗礼が行われますが、彼らはそれに加えて成人洗礼も行うことを主張して、ローマカトリック教会から激しい弾圧を受けました。何千人もの犠牲者を出しながら、彼らは農村に潜伏し、1693年にフランスのアルザス地方でアナバプティストの1派としてアーミッシュ協会を設立しました。ヨーロッパでの迫害のあと、かれらはアメリカに移住して、東部にコロニーを作り、アーミッシュと呼ばれるようになりました。このような血塗られた迫害の歴史の中で、アーミッシュは外部の世界と隔絶した自分たちの社会を守ろうとするのです。

彼らの生活は、開拓時代の服装で過ごすだけでなく、電気は電力会社からの供給を拒否し、電話やテレビも使わない。車も禁止で、もっぱら移動は馬車と自転車に頼っています。ところが驚いたことに、20世紀の百年間にアメリカ東部のランカスター地方のアーミッシュは人口が5000人から16000人に増加しています。
彼らは、新約聖書に忠実であり、寛容と穏健な生活を守るために外の世界を認めつつもアーミッシュの世界を維持しようとして、外部との折り合いをつけながら近代化もある程度受け入れています。
彼らの成功の要因は①生命の再生産、②文化的抵抗、③近代社会への妥協にあるとみられています。 

① 命の再生産 宗教的信条から、彼らは子ども達を沢山産みます。兄弟姉妹が5人~8人程度いるのは通常の事だそうです。日本の第二次世界大戦の前後もこのような状態の家庭が多かったと思います。子ども達が成長すると、自分の意思でアーミッシュ社会から大夫の世界へ出て行く人達もかなりの数になりますが、それらを差し引いても人口増加が著しい結果になっています。大体、20%の若者が外部の世界に出ていき、80%がアーミッシュとして残るという統計が出ています。子どもたちは地元の学校には通わず、義務教育の期間はアーミッシュ内の教育施設で教育を受けます。このようなシステムの確立には、アメリカの州政府との長い戦いがあったと思われます。子どもたちはそれ以上の教育は受けず、アーミッシュ社会の農業、酪農などに従事することになります。高等教育を受けようと志す若者や、外部の世界の異性との恋愛、結婚によってアーミッシュ社会を離れることを選択する場合もあるのです。このような状況から、アーミッシュ社会の人口は20世紀の百年間で3倍にも増える結果になりました。

②文化的抵抗 
最初に述べたように、旧来の服装だけでなく、電気や電話を使わない、テレビも車も拒否していることから、アメリカの社会から切り離された状況にあります。アーミッシュの社会では、教育もアメリカの義務教育の期間は自分たちで行い、彼らの宗教の教義に従った質素で寛容な生活を守っています。自転車と馬車のみの移動手段なので、外部との交流は強く制限されます。彼らの日曜礼拝は近所にある数軒のアーミッシュ家族が集まり、家庭内で礼拝を行います。基本的に自転車や馬車で行ける距離内の社会を形成して、どうしても必要な時は公共の交通機関を利用するのです。このような社会は、宗教的な意味合いは別にして、日本の戦前から昭和30年代にモータリゼーションの波が高まり、高度成長期に突入する時代の頃の状況に似ていると思います。宗教的な面でも、私の家は浄土真宗、いわゆる一向宗ですが、昭和30年ころまでは毎月、近所の10軒程度の一向宗が集まって、お経を唱え集まった子供たちにはお菓子が振る舞われることが行われていました。真言宗も日蓮宗も同様な行事を行っており、それらの組織が冠婚葬祭の互助の基礎をなしていました。いつしか、このような地域の組織はなくなり、若者は地域から離れて、どこも過疎化の波に洗われているのが日本の現状です。檀家制度も消え去ろうとしている現在、日本の宗教者は地域の宗教的コミュニティーの再生に、必死に取り組むべきであると考えます。

② 近代社会への妥協 
アーミッシュ世界においても、生産性の向上は社会を維持していくうえで、必須のことです。彼らは、自動車やガソリンエンジンを拒否しますが、新しく開発された農機具はエンジンを取り外して馬やラバに引かせるものの、器具自体は否定していません。電力会社からの交流電源の供給は拒否しますが、家庭内の電気器具も自宅のバッテリーから供給する直流電源を、インバータを介して使えるようになってきた。これらの例のように現在の技術革新を全く拒絶するものではなく、彼らの文化が持続するように気をつけて判断をしているのです。電話は各家庭内に取り付けることを拒否しますが、家の外に電話ボックスを設置して、共用で電話を利用することは受け入れています。
このように、一見矛盾に富んだ対応のように思われますが、彼らは外部世界の変化に何とか対応しながら、彼らのアーミッシュ社会を維持していくための、判断と折り合いの工夫を、日々続けているのです。
皮肉なことに、アーミッシュが有名になるにつれ、最近では農業と酪農による収入に加えて、アーミッシュ社会の見学に訪れる人たちが落とす観光収入が大きい割合を占めるようになっているようです。

 アーミッシュの例に見られるように、我々の社会でも、高齢化と過疎化の流れの中で、地域社会の隣人との密度が高い結びつきと、若者が地域から出ていかない状況をどのようにして作るかと言うことが大切であると思います。その根底には、穏やかで質素・無欲な生活を選択して、大量消費と大量の廃棄物の排出に鈍感になっている生活を改めることが大切です。(HU)

閲覧数 3408 コメント 0
コメントを見る・投稿する
この記事のURL: http://ubekuru.com/blog_view.php?id=3991

◆ 現在、コメントはありません。

この記事へコメントを投稿します。

名前

コメント ※必須

画像認証 ※必須

画像に表示されている数字を、左から順に下に入力してください。

(上に表示されている数字を左から順に入力してください。)



ページの先頭へ