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ニホンアナグマ、タヌキ、ムササビなどの興味深い話をうかがいました。

2012年11月24日

11月22日(木)山口県立博物館の田中浩先生から「宇部およびその周辺の哺乳動物とこれからの自然共生」と題する話をうかがいました。まず今年博物館は百周年を迎え、展示がリニューアルされたので、よろしくとの紹介がありました。
 ナベツル、オオサンショウウオ、トノサマガエル、カブトガニなど、山口県は貴重な種類の動物がみられる豊かな自然に恵まれている。山口県のレッドデータブック2002によると7万種類弱の野生動物が確認されている。
 ほ乳類としては、食虫目(トガリネズミ、モグラ)、翼手目(コウモリの類)、霊長類(ニホンザル)、兎目、げっ歯目(リス科のモモンガ・ムササビ、ネズミ科、ヤマネ科)、食肉目(クマ、イヌ科のタヌキ、ニホンアナグア、テン、イタチ)、偶蹄目(イノシシ、ニホンシカ)などがいる。 近年アライグマやヌートリアも見られる。ニホンリスは見られなくなっている。イノシシは増えている。ニホンシカは美祢市の方から徐々に南下しつつある。ニホンジネズミは10cm以下で黒っぽく、鼻がとんがっているが、ネコがよく獲って帰ってくる。秋吉台を中心にコウモリの種類も多くよく研究されている。キクガシラコウモリも宇部の方まで飛んでくる場合もある。

 動物を調べるのはなかなかたいへんで、時間と根気が要る。タヌキならタヌキの個体や群れを1年間通して、移動範囲、繁殖など様々な行動を観察する。人間を見れば逃げるので、そう簡単ではない。自動カメラを仕掛けておいて、その記録が重要なデータになる。 タヌキは夫婦で一緒にいる。メスの発情が短いので、そのチャンスを逃さないようにオスがいつも一緒にいる。シロタヌキが写ったこともあるが、アルビノ個体である。キツネやサルでもたまには見られ、湯田温泉は白狐が、俵山温泉は白猿が見つけたと言われる。
イノシシは3月から10月までは子どもを連れている。イノシシの3月から11月まで発情期は長い。
アカネズミ、ハタネズミは在来種だが、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミは移入種である。
 ニホンアナグマとタヌキは外観では区別しにくいが、違いは、タヌキに比べて鼻が大きい、眼が小さい、足が短い、爪が長くて動画長い、体は頑丈である。タヌキは指4本、アナグマは5本ある。

ニホンアナグマは、孔を掘るの上手で、長い孔を掘って、日中は地中で生活する。同じ穴のなかの狢というのは、タヌキやアナグマなどが同じ穴を利用していることからきているが、狢はもともとアナグマである。
アナグマの子どもは1年間母親と一緒に暮らす。山口市の県庁の西側の山の端にかなり広く分布している。穴は長く、出入り口は3カ所以上あるものが多いが、おそらく何年に渡ってメンテしながら利用されている。年によって同じ穴をタヌキやキツネも利用する。意外に里に近い麓に巣穴が多い。環境が多様で住みやすいのだと考えられる。
 自動ビデオカメラを仕掛けて、観察すると、オスがメスを誘って、交尾シーンも獲ることができた。オスはそれに至るまでにオス同士の争いもあり、勝ち残ったオスが、何回もトライしなければならない。交尾時間は最長2時間くらいにも及ぶ。交尾によって初めて排卵する。そして受精がなされる。受精卵が子宮に着床するのは1月始め頃になり、3月頃出産する。出産するとすぐ発情する。交尾から出産まで約1年かかる。
 メスのテリトリは50ha、オスの方は240haくらい。一夫多妻型である。オスは交尾だけで子育てには参加しない。子どもは3才くらい大きくなると、オスもメスもどこかに行く。糞から食べものを調べると、ミミズ、甲虫、木の実など雑食性である。冬眠中は、地温は37度から32度くらいまで低下する。
タヌキは一夫一婦制で、交尾から出産まで2ヶ月。タヌキの赤ちゃんは黒く、よくクマの子とまちがわれる。秋くらいまで母親と一緒に過ごす。オスも子育てに参加する。巣穴をかなり頻繁に代える。1年後には繁殖能力を持つ。身近な溝を巣にしている場合も多い。

 ムササビは神社の大きな木に見られる。ネコくらいの大きさある。木の幹に10cmくらいの穴が開けられて、巣にしている。高いところなので、あまり警戒せず、日没後30分頃に高いところにあがって滑空するのを見ることもできる。巣は見つけにくいが、草食でシイの実、花芽、若芽、ヤマモモの葉、ヤブツバキのつぼみなど、食べた後の食痕が下に落ちている。ヤブツバキのつぼみの中野おしべやめしべを食べる。1日に1本の木あたり80個も食べている。行動圏は1から2ha程度である。げっ歯類は前歯と奥歯が2本ずつしかない。
 ヤマネとモモンガを現在調査中。巣箱をかけて調べている。ヤマネの巣箱は入り口を木の側につけたものにして、鳥の利用を抑える。モモンガは外向きの入り口でもいい。
寂地山など、比較的標高の高いところを中心に調べたが、モモンガは鹿野町の1カ所、ヤマネは鹿野町や十種ケ峰など数カ所で生息が確認された。ヤマネはわりに標高の低い所でも見ることができた。

 耕作放棄地が増え、長年かけてバランスを保ってきた里山が、この半世紀の間で、崩れてきて、人と野生動物の緩衝地帯がなくなった。
江戸時代は寝ないで番屋をつくり、野生動物の見張りをしていた。放し飼いの犬も効果があった。戦前はイノシシなどは食糧になったので、1頭の値段も高く、猟師の人はそれで生活できていた。戦後、奥山にも造林が行われ、サルも人里に出てくるようになった。猿は母系社会、若いオスの離れ猿が悪さをする。いったんおいしいものを覚えると、子どもにも引き継がれていく。エサになるようなものは放置しないことが大事。猿はやっかいで、あきらめる例も多い。共生は言葉では簡単だが、実際はなかなか難しい。
まずよく知ると言うことが大切だと思う。小野地区で生物多様性地域連携保全活動計画が策定中だが、トノサマガエルやカスミサンショウウオ、アカハライモリなどに着目して、市民参加で調査し、まとめて「山口県の自然」に投稿したりするとおもしろいのではないか。
以下は質疑です。
○ 犬を飼うことで効果はないのか。またオオカミの尿のにおいは効果があるのか。
→ 放し飼いの犬は結構効果があったと思うが、今は飼い方のルールがあり、良くなかったと思う。
○狩猟者数とイノシシ捕獲数のグラフで、両方の単位は同じか。
→ 同じです。狩猟者数が減って、1人あたりの捕獲頭数が非常に増えている。
○カラスの害はどうなのか。カラスの巣を駆除することはできないのか。
→ ツバメ、スズメなど食害が大きい。ある程度コントロールしなくてはならない。
カラスは賢いので、捕獲はむずかしい。
○コウモリも着床が遅れるのか。
→ コウモリの場合は精子が受精するまで保たれるメカニズムだ。
○哺乳動物の調査はたいへんなのでしょう。研究者はどの程度おられるのでしょうか。
→たいへんです。山口県では、4,5人というところか。社会人になって続けられる職業も少ない。
○ムササビやモモンガは広葉樹、針葉樹など木を選ぶのか。
→ 大木になる木は大丈夫です。
○シカの増加は食料の関係で頭打ちならないか。
→ 山口県は冬さほど雪も降らないし、繁殖しやすい。
○シカの肉はおいしくないのか。
→ イノシシは冬場がおいしいが、シカは夏場はおいしい。ただ夏場にシカをとるのは猟師泣かせでたいへん。あと屠殺・流通システムが確立していないのも問題である。
○市民参加の調査について
→両生類は虫類の調査は比較的やりやすい。研究者も多い。世話役がおられればいい。

次回は、本シリーズ第5回は12月6日(木)19時より水産大学校竹下直彦先生をお招きして淡水魚のお話をうかがいます。

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