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岩尾俊兵慶応大学商学部准教授の「価値創造の日本“式”経営:無限の価値創造で対立を超える」を聴きました。

2023年08月21日

原口一博さんが主宰する「日本の未来を創る勉強会」の動画で、岩尾俊兵さんの講演を聴きました。https://www.youtube.com/watch?v=fvBFDEieQWc
演者はWikipediaによると、1989年有田市生まれ、経済的状況から、中卒で陸上自衛隊に入り、アルバイトもして2008年に高等学校卒業程度認定試験に合格して、慶応義塾大学商学部に入学、その後東京大学経済学研究科で東大初の経営学博士を取得したというユニークな経歴の持ち主である。

 まず問題提起として日本の深刻な現状について話された。
①詐欺・強盗などの凶悪犯罪の増加で、ここ10年で治安はよくなったかというアンケートでは、「悪くなっている」、「どちらかというと悪くなっている」は合わせて、67.1%と2/3を占めている。思い浮かべた犯罪としては無差別殺傷、特殊詐欺、児童虐待、サイバー犯罪などが多い。平和教育の中で育った若者はやさしい、いい子が多く、一昔前のようにヤンキーはいない。60歳以上の人が富を独占しているとかSNSの論説を信じて一線を越えることになるとも。
②社会人1年目の仕事の悩みとしては、残業が多い、人間関係がうまくいかない、休みがとりにくい、仕事にやりがいを感じられない、給料が低い、などを感じている。
③一方、中小企業の経営層も、人材の確保、営業・販売力に課題を抱えており、従業員の積極参加が得られず、孤立の悩みを抱えている傾向があるとされた。
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_2_2.html
④また、顧客との関係においても、不正会計、資産の不正運用、その他コンプライアンス違反など、企業の不祥事件数も増加しつつあることが指摘された。
https://www.businesslawyers.jp/articles/794

 岩尾さんは、このようにかなり厳しい現状認識を示されたが、ここから、日本の未来はまだまだ捨てたものではないという希望の持てる持論を展開された。

 すなわち、これら問題の根本原因として、すべての問題は「対立」が形を変えたものであるとされ、カネ優位、ヒト劣位の経営になっていることを指摘された。
 そして、価値有限の発想だから、限りあるパイの奪い合いになること、「価値無限の発想への転換」が問題解決のカギであるとされた。

 会社や組織の経営者と従業員、周りの関係者の間を示す左の図は、価値創造の主役は限られたエリートのみで、報酬もエリートが独占し、相互に対立関係が多いが、右の図は価値創造の主役は全員であり、報酬も比較的平等に配分され、相互に協調関係がある。

 右の表では、それぞれの関係者の期待される役割が整理されている。
 「価値創造の民主化」のために、すべての人がそれぞれの立場で価値創造に貢献する経営、そのような社会を目指すべきであり、上司、顧客の役割、経営者、従業員、株主の役割、政府の役割が示され、仕事を楽しく作り替え、生産性も上げるリーダーが尊敬される社会を目指さなくてはとされた。このことは、松下幸之助さんが言われていたことだとも。

今の日本では、似非アメリカ型の経営が主になっており、カネでカネを生む発想、ヒトはカネを生むためのコストとみなされ、ヒトよりもカネが大事、カネのために人に苦労させる管理になっている。
 昭和の時代の創業者はインフレ下にあって、ヒトに好かれる経営をされたが、平成の時代はデフレ的な時代でカネに好かれる、あまり実体のない事業が多くなったとされた。

なぜこうなったかについては、簡単ではなく、門外漢にはうまく説明できないので省かせていただく。たとえば以下の記事など参考になります。
https://manabow.com/qa/bubble.html

岩尾さんは、2点あげられ、アメリカにプラザ合意で、ドル安・円高が進められ、日本の勢いを止められた側面と、日本が集団パニック的に自己破壊した側面があるとされた。
デフレでお金の価値が上がったら、「働かなくてもいい、カネだけ管理すればいい」と思うようになった。

一方で、米国では日本式経営の良さを取り入れ、Amasonの「KAIZEN」や、1987年から設けられ今日も継続されているThe Malcolm Baldrige National Quality Award は、日本式経営を意識したものであるとされた。

そのうえで、今や、「日本も失われた30年」で厳しい状況にあるが、インフレ下で、ヒトに好かれる経営が見直される歴史的な大転換期を迎えているとされた。

まとめとして、
・資源は有限だが価値創造は無限、・価値無限なら分断と対立は起こりえない、・ヒト中心の価値創造の重要性、・すべての人が価値創造に取り組みカネではなくヒトが主役、・過去の強みを取り戻し日本を世界一豊かに といった点をあげられた。

岩尾さんは、人は状況を見て、このような発想の転換をする可能性のあることを前向きに期待しつつ、「13歳からの経営の教科書」という小説風の物語本を書かれ、全国の小中高校の学級文庫に普及を図る活動も行われているそうである。

質疑では、
・大量生産大量消費をいかに変えられるだろうか。
→ 人間は意外に、地球環境にやさしいものに価値を認めたりすることができるのではないかと思う。エネルギーをさほど使わずバーチャルな世界を楽しむこともできる。環境にやさしいものが価値を持つようにブランディングをしていくことも大事だ。
・それぞれ新しい価値を創造できる可能性を少し感じた。
→よく組織内で意見が合わず,けんかになることがあるが、そんなとき、今の究極の目標は何かが一致しているならば、相手の言い分をよく聞き、良いところは認め、マイナスの部分は、補えるように組織として持って行ければ、必ず和解して共通の目標に向かっていける。例として、
 あるおでん屋店で夫婦が、利益率を巡って考え方が対立していたが、究極の目標は「店の持続」であり、原価の校正を検討したところ、広告費が大きいことが判明した。そこで、これを節減し、顧客にSNSを通しての宣伝を依頼することにした。その効果は抜群で、経営状況がよくなったということ。

・変化については不安を感じることが多く、説得するのがむつかしくはないか。
→ 色々工夫して相手を説得することと、小さい時からの価値創造の教育が大事ということで、「13歳からの経営の教科書」の普及も図っている。現在行われている起業家教育はいかにしてお金を儲けるか、お金持ちにあこがれさせるものになっている。どういうことをやりたくて、どういう道筋で実現するかを考えるような教育であってほしい。

→ それと、説得がうまくいかなかったときの対処法として、一つの方法論として、七転八起のやり方がある。ドラッカーの考えではどんな人でもどんな出来事でもプラスとマイナスの部分がある。そこで、マイナスの部分を補う方法を考えることがポイントである。

・先生が集まらなければ、給料を上げればよい。多角経営をしているので、そういう対策もできる。
→ 貴重な資源を集めた企業は成功する。インフレ下では、人が貴重な資源、デフレ下ではカネが貴重な資源になりがち。令和の時代は人を大事にする経営が求められる。

・環境にいいものを買いたいと思っても、お金がなくて買えないこともある。そのため、可処分所得を国民に増やす事も大事。あるいは政府がその価値を支払うとか、公定価格を設定することで、価値創造の方向に持って行けるのではないか。
→ 大事なことと思う。変化のループを早く回すことが出来る。また国債を増やすのかという批判も出ると思うが、国債発行と税収を通貨発行と通貨償却と考えた方が良い。
・例えば老齢年金7万円の半分3.5万円/月は国庫負担である。若年者手当18歳から30歳まで月2万円の補助をすればどうか。対象は1500万人として3.6兆円くらいであまりたいしたことはない。物価上昇もしないだろう。
→ 若い人は価値創造の主役でもあり、多くの人が支持してくれるようないい政策だと思うが、ただまず税金を吸い上げて、それを配布する過程で大きな無駄が出るように思う。
・それは以前から自分も考えていることで、税金を吸い上げないという方が良いのではないか。これまでも消費税を廃止することを主張してきた。
→ イーロンマスクや、ジャック・マーさんなどの資産家が、税金が安く、価値創造発想で、世界一安全で、世界一食事もおいしく、文化や教育も優れているということならば日本に住んでくれるのではないかと思う。
・ジャック・マーさんは、1万人ほどいる稲盛和夫さんの清和塾の塾生だった。日本で経営を学びたいと思う人が一杯いるが、現在立派な経営者が少なくなっている。
→ 自分の情報発信について、私の本を、中国の人が読んでいて北京の大学から講演を頼まれたりしている。米国のインド人も強い関心を示してくれている。しかし日本では、むしろ批判したり、たたいてくる。
・逆輸入ということも多い。とにかく世界的に注目されているということだ。
                      
 今回、若い研究者が、未来に希望を感じさせる示唆に富んだ考え方を提示していただいたので、SDGsやESDに関連して、詳しく紹介させていただきました。
適当に紹介した部分があると思いますので、はじめに示したYouubeなど見ていただいて、もし不適当な部分があればご指摘いただければと思います。 (文責:浮田)

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