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第4回ESD研修会「他市における特色ある取組について」第2部その2として、フードバンク山口の活動についての紹介です。

2020年01月06日

 第4回ESD研修会「他市における特色ある取組について」第2部その2として、フードバンク山口の活動についての紹介です。 

 山口県におけるフードバンクの活動は2014年3月から下関市から始まり、下関市だけでは使い切れないと言うことで2015年12月からジャンボリーを契機に今村先生も活動を始められました。そのうちに下関市の倉庫が使えなくなり、山口市に倉庫を設けるようになり、2017年7月にはNPOを立ち上げ、事務局を引き受けるようになったということです。

 捨てるのはもったいない食品を集めて、それを必要とする場所にとどける届ける役割を担っています。
 山口県から貸与されている葵の倉庫は2階であり、黒川のアパートの1階も借りて倉庫にしているとのこと。宇部市はFMきららの建物の4階が倉庫になっている。現在6市に7箇所の倉庫がある。

日本の食品ロスは年間643万トンもあると言われ、山口県では事業系から3.9万トン、家庭系から3.2万トン合わせて7.9万トンあると言われている。

 食品メーカー、卸・小売店からの食品ロスは左下の図に示されるように、規格外品、定番カット食品、独自に設定された販売期限切れ品などがある。

 食品は、その生産段階、収穫保存段階、加工、販売、消費段階で、それぞれエネルギーを消費し、これに伴う温室効果ガスの排出も多く、食品廃棄伴う世界の排出量は中国アメリカに次ぐ排出量になると言われている。

 製造、販売、外食、家庭それぞれで、食品ロスを削減し、フードバンクで有効利用することによって、色々な意味において非常に意義のある貢献ができることになる。

  一方、日本においてもご他聞に漏れず貧富の差が広がってきており、日本の相対的貧困率(可処分所得が、その国の中央値の半分に満たない国民の割合)を世界のOECD34カ国中6番目に高いというデータが示された。
 また、非保護世帯数も年々着実に増加しており、「子どもの貧困」が社会問題化している。

右上の図にあるように、福祉施設、子ども・地域食堂、地域包括支援センター、ケアマネージャー等々を通して、日を決めて集まった食品を配布することが行われているようである。
 家庭訪問しても 食べ物を伴っていく場合は相手の気分もほぐれ、話が弾むことになるということである。

 右下の図には、フードバンク山口の活動内容がまとめられているが、たいへん意義のある活動である。しかし、山口県全域を相手にすると言うことになれば、非常の大きな労力が必要であり、今村先生達のご苦労が推察される。


 2018年度の主なイベントを見ても、レノファ山口の試合を利用したフードドライブが多いが、随分活発な活動をしておられることがわかる。
 
フードバンクポストは現在山口市10カ所、防府市、萩市、周南市各2カ所、宇部市3カ所、下関市1カ所、合わせて20カ所、出張ポストも含めると31カ所に置かれているようである。

 食品の千度や運搬の手間を考えると、スーパーから直接、子ども食堂棟への利用先に食品を届けてもらう(株)丸久との連携は、合理的であると言うことであった。

 2018年度の食品の寄贈量は15.6トンにのぼり、企業からの寄贈が最も多い。次いで子ども食堂への直接持ち込み、フードバンクポスト、等となっている。

 フードバンクの活動については、企業のCSRやSDGsに関連して、積極的な協力を引き出しておられることも注目に値する。

 また、右上の図に、期待する、ボランティアの内容が示されているが、単発的に県等から様々な補助金が得られても、煩雑な事務や、イベントの企画、世話、広報、衛生管理、折衝、運搬配送等々、多くの業務があり、これらを全県規模でカバーしていくことは、一NPOの運営とともに、非常なご苦労があると言うことは想像にかたくない。


 今回、防府市と山口市の広い意味でのESD環境教育に関連した取組の紹介をお聞きして、形は違え、中村さん、今村さんの、どちらも現役の本務もこなしながらの、旺盛なボランティア精神に頭が下がる思いがします。両先生に対して心から敬意を表します。
 
 同時に、年々、国・地上行政の財政が厳しくなる中において、ボランティア団体の貢献への期待が大きくなるものの、その活動を担う当事者の限界についても、行政当局や一般市民の理解が必要であると思います。

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