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宇部の街路樹の変遷について、すこし考えてみました。
2019年01月03日
宇部市の緑化については、「宇部方式」の中でも非常に動きが早く、以下の示すように、東京から赴任された山崎盛司さんを中心に、当時の西田文次市長、星出助役、宇部市女性問題対策審議会の上田芳江会長らの支援協力のもと、非常に精力的に進められました。
昭和25年(1950年)山崎盛司さん宇部市に赴任 市営苗園の設置
昭和26年~ 常盤通の街路樹植樹
昭和28年(1953年)建設大臣表彰
昭和34年(1959年)公園緑地課設置 造園相談所設置
昭和37年(1962年)女性問題対策審議会の提唱で「市民の森」をつくる呼びかけ、募金による植樹
昭和41年(1966年)には様々な市民運動を統合して「宇部市緑化運動推進委員会」組織
ここでは、上田芳江。山崎誠司共著の「緑で公害から町がよみがえるまで」 (カンデラ書房 昭和46年刊)の街路樹の写真と現在の状況を比較して、緑化の変遷について、すこし考えてみました。
しかし最近、ずいぶん町の緑は少なくなった印象がある。もとエムラ東側のプラタナスも倒木してなくなった。
今にして思えば、1970年前後が、一番街路樹が多かった時期であったかも知れない。
その頃と現在を比較すると、季節差は割り引いて考えなくてはならないが、明らかに緑の量はすくなくなっているように思われる。
中央郵便局あたりから、松山町1丁目方面を見た写真であるが、1970年前後は、左側に見えるプラタナスなどの高木街路樹はうっそうとしていて、背後の建物が見えず、どの辺りでとられたのか、判然としない。
しかしいずれにしても、季節差を割り引いたとしても、現在は明らかに緑の量は減少しているように思われる。とくに歩道側は顕著である。
1970年前後に歩道橋からか、西向きに撮られた写真であるが、これも場所がはっきりしないほど、歩道側のユーカリかの高木の街路樹がよく茂っていて、後ろの建物が見えない。分離帯のフェニックスも見事である。
右上はそれから24,5年後の写真であるが、ユーカリの高木がそのままであったのかどうかは判然としない。現在は、フェニックスもところどころ歯抜けで、歩道側にはずいぶん控えめな緑しか見ることができない。
このようになぜ、市内全般に緑が少なくなったのかについては、当時の状況をよく知っている方のお話をよく聞く必要がある。
おそらく想像するに、維持管理に予想外に手間と費用が係るようになったこと、落ち葉の清掃などから住民がむしろ緑を敬遠するようになった、台風などによる倒木の心配、電線との接触の問題など、さまざま考えられるが、確認が必要である。
台風による倒木に関しては、1970年8月にはヤナギの大木40本が倒れたこと、1971年8月には、市内で1000本の倒木被害があったことが記録されている。
http://www.city.ube.yamaguchi.jp/kurashi/bousai/keikaku/fuusuigai/documents/001-f010201_2.pdf
左上の写真は寿橋通の街路樹の写真であるが、筆者は1969年に宇部に移ってきて、うっそうとしたしだれ柳の並木の記憶が確かにある。しかしこの場合も後ろの建物が見えず、どの場所でとられた写真なのか、不明である。
現在はこの通りの街路樹はほとんどケヤキに植え替えられている。
これほど見事に樹種が入れ代わったのはなぜなのか、この点はしっかり確認したい点である。
上田芳江さんの記述によれば、1952年ごろ、宇部に北鮮系朝鮮人が約3100人住んでいたが、万来町事件という暴動騒ぎがあった。しかし数年後この人達の幾人かが故国に引き揚げる時に、柳の苗木を植えていってくれたとのこと。
ちなみに、恩田運動公園でも市民の森をつくる運動で、メタセコイヤなどとともにヤナギも植えられたようであるが、今残っているのは、大木1本と倒木場際された幹からのひこばえの小木の2本しか見あたらない。
山崎誠司さんの記述によれば、街路樹高木としてプラタナス、しだれやなぎに重点が置かれていたようである。このような歴史的な経過を記憶するために、完全に植えかえるにしても、どこかに残す配慮もあっていいのではないかと思う。
日頃、街路樹に注目して、その木の名前もあまり意識せずにいたが、これからは関心を持って、行きたいものである。
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