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先日のサロン嶋田紀和さんによる「竜王山の自然と保全活動」第1報です。
2016年10月07日
第7回環境サロンは宇部志立市民大学環境学部OOB会の企画で、「竜王山の自然と保全活動」と題して、嶋田紀和さんによる、お話、その後、現地の自然を嶋田さんに案内していただき、植物の生息状況、自然保護活動の場、歴史文化的なお話も含めて、いろいろ興味ある説明をしていただきました。
竜王山は、海岸に近い山なので、通常の山野草のほか、海岸性の植物も豊富に見られ、非常に生物多様性に優れた環境であるようです。
竜王山周辺を楽しむマップ、竜王山野自然、竜王山周辺の歴史・史跡に、豊富な情報が、A2版の裏表に、たのしくまとめられています。
貴重な動植物に関する情報も、あえて公開することによって、自然保護に対する理解を高めることができるという考え方がとられているようである。
ツユクサは代表的な日本の草花。 黄色は昆虫を引きつけるための一種の化粧とのこと。わずか一日しか咲いていないので、派手な化粧をして、虫を呼び込み、できるだけ他家受粉できるようにする作戦であるという。他家受粉できなかったら、花びらを巻き込んで自家受粉するそうです。
アマナ、ヒトリシズカ、コオニユリ、ウバユリ、ウマノアシガタ、ツルニンジン、ミゾソバ、サワヒヨドリ、モリアザミなどの群落は、生態系としても重要であり、自然公園の景観形成にも重要である。
白い花をつけるウバユリは北側斜面に多い。ユリは、草刈りの時に茎を切ってしまうと、もうその茎からは花が咲かず、新しい芽も1年では花が咲かないということです。
このように二次的自然の管理には刈り払いが必要不可欠であるが、その回数ややり方には細かい注意を要するようです。
長年の関係者の努力によって、学校教育における、有効なプログラムも定着しつつあり、注目されるところです。
アサギマダラおいでませ作戦では、2010年からヒヨドリバナ、サワヒヨドリ、サケバヒヨドリを、本山小学校「緑の少年隊」と、市民、地元、「本山会」がサポートして、育苗、植栽、管理が行われています。
竜王山はわき水は何カ所かあるが、川はないので、カワニナを食べるゲンジボタルやヘイケボタルではなく、キセルガイを食べるヒメボタルが生息している。
ヒメボタルは気温が19℃になる5月下旬ごろに飛ぶそうである。5年生対象の保護者を含めた夜間の観察会は、本山小学校のこども達の体験学習として、大きな成果をあげているようである。
ビオトープの体験授業でも、2年生の子ども達は次第にどろんこになって、オタマジャクシを捕まえたりして、本来の好奇心や冒険心を身につけるのに役立っているようです。
嶋田さんは、環境学習では知識を伝達するよりも、自然を視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚の五感で感じさせることがより重要であることを、レイチェル・カーソンの「Sense of Wonder」の本を引用して、強調されました。
こども達の感想文には、ヒメボタルや、ビオトープでの感動がつづられており、嶋田さんの宝物だそうです。
今年の春には、「本山会」のこれまでの活動に対して、県内で初めて、「みどりの日」自然環境功労環境大臣賞(いきもの環境づくりみどり部門)を受賞されました。
お話の最後に、竜王山の自然をどう活かすのか、嶋田さんのお考えとして
・竜王山の自然を活かしブラッシュアップ。
・こどもの自然体験学習のフィールドとして活用。
・市民の癒しのフィールドとして活用する。
・上記が観光振興につながる。発信が大切。
が示され、なかでもこどもたちの自然体験学習の場として活用することがもっとも重要であると考えているということでした。
質疑の中で、自分の生涯の集大成として、これまで撮り続けている、山野草の写真集をまとめたい。そのためには、徐々に雑用を整理しつつ、後継者にバトンタッチをしていきたいといったお気持ちを述べられました。
今回のサロンでは、このお話の後、現場での説明や、実際の草花、樹木、自然景観、文化遺産等にふれ、参加者一同、たいへん感銘を受けました。長年地道な努力を積み重ねてこられた嶋田さんに敬意を表します。
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