平成28年度第5回環境サロン
2016年09月21日
平成28年度第5回環境サロン
日時:平成28年9月8日 18:00~20:00
場所:宇部市まちなか環境学習館 3階ミーティングルーム大
及び まちなか環境学習館前の広場
講演題目 「ときわ公園次世代エネルギーパーク」
講演者: 宇部市 公園緑地課 工事係主任 三井 宏之 氏
補助者: 宇部市 公園緑地課 工事係長 田村 明治 氏
工事係主任 加来 良太 氏
本サロンは、「市政情報出前講座」を利用して、宇部市公園緑地課に講義を依頼した。
講演概要
・ ときわ公園の概要説明に先立って、ときわ公園が平成24年に「ときわ公園次世代エネルギーパーク」の認定を受けた。
・ ときわ公園の概要については、「緑と花と彫刻のまち」のシンボルであること、「環境・芸術・スポーツ・福祉の融合した先進的モデル公園を目指していることなどが説明された。また、公園内の各施設の内容が紹介された。
・ 平成22年5月に「ときわ公園活性化基本計画」が策定され、その中で、自然・環境の学び場を創ることへの取組の一つとして、「公園内施設・設備への新エネルギーのモデル的導入」を推進することとなった。また、上記の基本計画は平成28年2月に改訂定され、「エコパークでの体験を通じた環境学習の拠点」をテーマに掲げて取り組んでいる。ときわ公園エコパーク化、ときわ公園次世代エネルギーパークの位置づけについては、数を参照されたい。
・ 民間企業による実証実験(地中熱利用送風装置、高性能リチウム蓄電池を備えたLED街灯など)、ときわ公園における環境への取組(管理用清掃車の燃料として廃棄植物油を精製したBDF(バイオ・ディーゼル・燃料)を利用、ヤギによる除草、公園内施設照明のLED化)の説明があった。
・ ときわ公園次世代エネルギーパークの基本方針は以下の3点である。① 新たな地域防災拠点づくり、②再生可能エネルギーの利活用、③防災・再生可能エネルギーの学習・体験の場づくり。
・ 続いて、ときわ湖水ホールへの風力圧電設備、太陽光発電設備、EV用急速充電器などの導入実績が紹介された。また、ときわ動物園への太陽光発電設備の導入、ときわミュージアムへの木質ペレットボイラー、太陽光発電設備の導入、電気自動車の利活用についての紹介があった。
・ 学習・体験の場づくり、普及啓発への取り組みに関しては、①来園者に向けたパネルなどを用いた情報提供、②環境に関連するイベントへの出展、PR活動、③動物園で行う環境学習と連携した学習プログラムを作成、他団体とも連携して、再生可能エネルギーの学習の場として施設利用を促進する、などを推進していることの説明があった。
・ 引き続き、まちなか環境学習館前の広場に移動して、ときわ公園でも活用している電気自動車やミニ電気自動車のデモがあった。
・ 現場で、電気自動車に関する多くの質問が寄せられた。
引き続き、ミーティングルームに戻って、質疑応答の時間となった。
(Q)ときわ公園の貯水量が大きいと思われるが、この水を利用した水力発電の可能性はあるのか? 水力発電は価値があるという観点で、議論しているのか?発電用水の落差は3m程度あれば、何とかなる。
参考:
https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1080shisei/2010shoukai/3010shichou/4010kishakaiken_19/files/gesuisaiseiene.pdf
(A)ときわ公園の貯水は農業用水と工業用水を目的としており、水利権の問題もあって、現時点では積極的に水力発電を検討している段階ではない。農業用水出口2カ所、水利権問題や年間の限られた時期ということもあり、簡単ではない。
(Q)風力発電(5kW)の実績データはどのようになっているのか? 年間を通してソーラー発電の効率と比較すると、どの程度になっているか?
(A)風力発電の実績として、平成27年の発電量合計は435kWh であった。平成26年度の資料は持ち合わせていないが、発電量合計の差は100kWhも無いと記憶している。
(C)良いデータも悪いデータも、どんどん発信すべきだ。
(Q)新エネルギーの導入において、種々の努力を払われていることは理解したが、それに対する経費と、得られるエネルギーの量との比較はどのようになっているのか? 採算性も大事ではないか。
(A)イニシャルコストが高く、エネルギー生産量と比較すると赤字になっている。
(C)多様な新エネルギーを導入することは、スケールメリットが生かせない状況なので、赤字になるのはやむを得ないと思う。むしろ多様なエネルギーの設備を生かして、優れた環境教育プログラムを提示して、外部にその実践状況を発信することが重要であると考える。
(C)現状では、アクトビレッジおのとリサイクルプラザは環境教育拠点として位置付けられて、宇部市内の小学生は必ず両拠点に行って環境学習を受けることになっている。ときわ公園全体で、環境教育に取り組み、優れた教育プログラムを構築していただきたい。
(C)ときわ公園の職員自らが、自分たちでどんどん提案をして、外部にアピールすることが大事だと思う。
(Q)学習の場として、ときわ公園を使うとの説明であったが、環境の観点からどの位有効なのか、定量的な説明が必要であると思うが、如何か?
(A)どのようなデータを取るべきか、今後検討をしたい。
(C)ときわ公園全体の環境教育を検討する機構が必要ではないか。
(Q)10歳くらいの子どもに理解させることは、難しい。
(A)子ども向け、大人向け など切り分けたプログラムでなければならないし、それぞれ教え方の工夫ももちろん必要である。
(C)理解させるのが難しいことでも、本質は教えないといけない。そこが難しいところだ。
(Q)防災、エネルギー、芸術、動植物など多彩な内容があるが、組織はどうなっているのか? 全体的にどこが窓口なのかわからない。ときわミュージアムなのか?
(A)ときわ公園をしっかりした環境学習拠点として位置づけていく必要があると思われるので、ぜひ協力をお願いしたい。
(C)現在、環境省の協働取組加速化事業が宇部市の産官学民の協力体制の下で動いている。ときわミュージアムからオブザーバーを出していただいているが、必ずしも積極的な意見を述べていただいていない。ときわ公園関係者の中で適当な方がオブザーバーで参加していただけるなら、大いに歓迎する。
(C)(その他のコメント) 植物の名前などの学習もできるのでは
北九州市のように見学者が増えるような内容を検討してみては。
太陽光と地中熱、ヤギによる除草、などは印象的だ。
水質浄化装置のメーカーによる常設展示なども検討してもいいのではないか。
市外からの一般の来園者を増やす努力が必要。
(C)ときわ公園において、色々な取り組みが進行中であり、それらを統合して個々の施設、取り組みが円滑に、なお且つ上昇機運になるような方策をお考えいただきたい。
(文責)まちなか環境学習館 館長 薄井洋基
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