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今日はビキニ・デーです

2016年03月01日

 1954年3月1日、南太平洋のビキニ島の北西約160kmを航行していた23人が乗り込んだ第五福竜丸(140トン)は午前3時50分頃、南西の水平線上からオレンジ色の巨大な炎が天空を焦がす光景を目の当たりにした。

 そしてその9分後にはすざましい轟音に襲われた。

 それから海がじわりじわりと荒れ始め午前8時頃には風と雨と波が船を包んだ。

 雨の中には後から判明するのだが死の灰を含んだサンゴ礁の破片を含んでおり、肌を鋭く刺した。

 そしてその後空全体を墨を混ぜた様などす黒い雲が覆い、東に向かって流れて行った。

 この異変の正体はアメリカがマーシャル諸島のビキニ環礁付近で実施した水爆実験(キャッスル作戦・ブラボー)であった。

 キャッスル作戦・ブラボー実験のキノコ雲 核出力(15Mt)

 船上では2日後あたりから乗員に異変が出始めた。

 顔色が変わり、髪の毛が抜けはじめ、頭痛、吐き気、めまい、下痢などの症状が出た。

 そして3月14日母港の焼津港に戻った。

 被災当時の第五福竜丸

 被ばくした乗員は直ちに治療を受けることとなり、このニュースは直ちに全国に広まった。

 ほとんどの乗員は回復に向かったが、乗員の中の一人久保山愛吉さんは放射線障害がもとでその年の9月23日亡くなった。40歳であった。

 この事件は本格的な反核運動に発展したがアメリカと日本政府はこの事件を長引かせることなく翌年アメリカが日本政府に200万ドルを支払うことで収束させてしまった。

 しかし、当時盛んに南太平洋で行われた核実験でこの第五福竜丸事件の陰で1000隻近い漁船などが被ばくしていた。

 その被ばくした乗員たちの多くは若くして亡くなっていた。

 しかし、それらは日の目を見ることなく闇に葬られてしまったままである。(P)

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