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第48回水環境フォーラム山口の特別講演の報告です。
2016年02月01日
第48回水環境フォーラム山口が1月30日セミナーパークで開催されました。日本水環境学会の支部活動の一環として、夏は宇部で、冬は山口で、年2回ずつ開かれ、今回で24年を経過したことになります。
特別講演で長崎大学の山口敦子先生の興味深いお話があり、非常に勉強になりました。大型のサメなどを相手に、方々の海域で資料を採取され、現場で解剖したり、GPSやDNA鑑定など先端技術も駆使して、貴重なデータを集積されています。
お話のポイントの一つとして、藻場を食い荒らすアイゴが知られていますが、この魚も生態系全体の中で、悪いことばかりではなく、良い役割も果たしていることを忘れてはならないということです。
反択的に、有害魚として指定され、駆除されれば藻場の磯焼けが解消されるわけではないということです。生態系尾全体像をつかむことは、簡単ではないでしょうが、そのような視点は大変重要であると感じました。
同様に、有明海でもタイラギなど二枚貝のナルトビエイによる食害が問題にされ、ナルトビエイを駆除すれば二枚貝の生産が回復するような、簡単なものではありません。
同様のことが、山口湾干潟のアサリがナルトビエイの食害によって獲れなくなり、これらの食害を防げば、アサリの生産が回復するという単純bな話ではないと言うことが言えます。
有明海も山口湾もナルトビエイが目立って出現する前に、減少が見られたことや、少々、食害にあっても、影響がないほど、二枚貝の生産があった時期があったことも共通点があるようです。
有明海のナルトビエイの年齢構成が、8年ぐらい前に比べると若齢になっていることや、3月から9月には有明海北部にいるが、10月から2月にかけては、深いところや外海に移動し、あまり動かずにじっとしているそうである。
また、ナルトビエイは1989年に五島列島奈留島所属の巻き網線によって持ち込まれたのでその名がついたようだが、当初はインド原産のAetobatus flagellum とされていたが、山口先生他の検討で、未記載種であることがわかり、Aetobatus narutobiei になったそうである。分布は海南島あたりから秋田沖まで広く分布していて、少なくとも九州には古くから生息していたとのこと。
ナルトビエイの卵は10ヶ月の休眠期間があり、それがおわれば2,3ヶ月の後に孵化し胎内で子宮ミルクで育つそうである。
有明海の魚の食物連鎖の構造についても研究され、このような「食う」、「食われる」の関係のなかで、生態系のバンランスが保たれているのであり、環境や生態系の評価ということがさほど簡単なことではないと言うことがわかります。
後の交流会でも、食事もほどほどに、参加者の質問にていねいに答えていただいていました。感心しました。
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