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マルチタレント徳永さんから里山保全に関して色々な話を聴きました。

2017年03月04日

遅くなってしまいましたが、2月24日の環境サロンの報告です。
講師にお願いした徳永豊さんはS29年生まれ、公務員生活が長かったとはいえ、多彩な経歴の持ち主で、九産大商学部を卒業後、旧熊毛町役場に入庁。いきなり専門外の下水道の技術担当10年、下水道管理士の資格も取られたそうである。その後農林8年、平成6年には、3年間の勉強の末、山口県の森林インストラクター第1号を採られている。その後、情報通信6年などの担当を務められた。H15年の周南市合併後は生涯学習課で、ナベヅルの保護に尽力された。その後農林課長・道の駅推進課を経て、H24年周南市の図書館長に就任、27年3月退職、H28年4月以降、三丘徳修館館長を務めてられている。チェロも弾かれていて大変オールラウンドな人である。

まず、三丘パン研究会の立ち上げの話から始められた。平成15年石窯をつくり、国産小麦でパンを焼きたいと思った。農学部の高橋先生に相談したが、日本の小麦はグルテンが少なく、パンには適さない、やめた方がいいといわれた。しかし先生が実際やってみたわけでもないのに、できないというのはおかしいと、一緒にやることになった。研究室に集められていた世界中の小麦を実際に撒いてやってみて、三丘の土地に合う小麦粉を探したそのうち、九州農業試験場で作られたニシノカオリに取り組み後に、品種改良された「せときらら」を使うようになった。
現在、学校給食のパンで国産小麦のパン100%なのは北海道と山口県だけであるとのこと。自分の家でも休耕田にせときららをつくっている。H15年から毎月1回三丘パン研究会をやってきているが、明後日137回めの研究会がある。荒れた休耕田で11月に植えて、名田島などでも植えられている。パンは石窯でおいしく焼ける。そのために薪が必要である。パンづくりをするために時代が逆行してくることになる。
 薪にはクヌギ、コナラ、カシなど広葉樹がいい。ゆっくり燃えて、適当な温度でパンがおいしく焼ける。針葉樹はすぐ燃え、火力も強いが、すぐ燃え尽きる。薪を採るために里山の保全が必要であるということになる。

次に、荒れた里山をどうするかという問題である。昔はうまく回っていた。薪ストーブやペレットストーブ、ペレットは10kg450円であるが、石油製品が値上がれば、ペレットとそう変わらなくなると感じる。ペレットは石油に比べると値が安定している。スギ、ヒノキや雑木をただ圧縮しただけ、接着剤も使わない。間伐材やのこくずも原料になる。錦にペレット工場があるが、県内のあちこちから40cmくらいまでの間伐材を集めてペレット化している。

岡山県真庭は製材所が30ほどあり、銘建工業は集成材を生産しているが、製材くずを集めてペレットを作る工場もある。ここのペレットは250円/10kgで売っている。温泉等いろんなところではこのペレットが燃料として使われている。新潟は600円で高めに売って回そうとしているようだが。いずれにしても今まで使われなかった間伐材の利用など、自分はペレットが林業の再生のキーだと思っている。今は製材くずからペレットが作れる300万円程度でできる機械が開発されている。高知県でやっている自伐林業で、間伐材を製材して、出てきた製材くずをペレットにして回すことで、地域で経済が回るようになる。山口県でもペレットをもっと普及していくことが大事だ。

獣害対策も大事、周南市ではクマも出る。保護獣なので、むずかしい。耳に黄色のタグがついているクマは殺処分できる。
サルはメス社会、50頭くらいの群れをつくっているが、ほとんどがメスである。長尾地区で、スイカと子どもを両手に抱えているメスザルの写真も撮られている。
 人の食べ物を食べると繁殖力が強まる。人間がいなくなったので、里まで出てきて、おいしさを覚えてしまった。人が里山を放棄したことが原因である。さてどうする。これは難しい簡単ではない。

次に、関連して林業経営のことについて話された。
周南市の農林課長時代、搬出間伐の事業評価をした。間伐材を産業廃棄物ではなく、売ることによって、回していく可能性の検討である。周南市の森林面積は78%を占めている。
林業従事者は40人で今はそれほどもいない。要するに林業は経済的に成り立たない状況がある。
周南市では平成21年3月にバイオマスタウン構想を立ち上げ、地産地消に取り組みたいということで、50ha弱の谷間の林齢54年のスギ、ヒノキ人工林を対象にして、実証実験をした。
 列状間伐というのは、写真で示すように、搬出しやすいように、列状に下向きに伐採し、谷に落としていく。搬出には、ハーベスター、フォワーダー、グラップル、10トン積みクレーントラックなど高性能機械を使用する。
 このような作業は、山口県でも森林組合への委託が一般的であるが、事業収支をとってみると、いくらかでも黒字が出る。この場合は作業路もつけたので、余分に費用がかかっているが、次年度以降は収益がもっと増えることになる。
これを林業指導センターで説明した。条件のいいところのケースであるとか、その他の課題もあるものの、搬出間伐も収益が出ることを実証したことになる。
トクヤマの発電所にも間伐材の利用の可能性も考えたが、石炭に比べるととてもコストは合わない。分収林のような仕組みも考えなくてはならない。

現在、週3日は三丘徳修館(公民館)に出て、あと2日は商工会議所にでているが、公民館では、「みつお子どもがずっといるプロジェクト」を行っている。定住部会、学校部会、環境部会、産業部会があり、自分は環境部長をしている。昔は10倍もいた子どもはいまは42名で、現在学校の統廃合が進められている。八代の方も同じようなものだが、統合に全体が反対して、存続している。
 定住部会では空き家を調査し、借家の交渉をし、移住前の家の整備は地域の人が全部する。昨年だけで5軒が移住した。東京からご主人以外も移住した例もある。
 産業部会では、現在コミュニティカフェを作る準備をしている。
 環境部会では、もと熊毛北高校のグランドがあった徳修館のすぐ裏山(約1ha)に竹が繁茂してしまっていたのを全伐採して、懸案であった公園化の検討に取り組んでいる。
 この事業は山口県の平成27年度の単年度事業「竹燃料化実証実験」(竹をチップ化し、岩国のミツウロコ発電所と、中電新小野田発電所で燃やす実験)で、竹を6千本以上伐採し、全部搬出してもらった。
(ほっと三丘コミ 環境部会 のFB等で、活動状況の一端を見ることができる。)
また、H26,27年度環境省の補助をもらって子ども達対象にESDと取り組んだ。
中国地方の5県で、広島のNPOが一括して受け、山口県からは自分達の取組が選ばれた。子ども達に、どんな公園がいいのか、案を出してもらい、春は憩いの公園、夏は集いの公園、秋は遊びの公園、冬は彩りの公園のイメージで、今も色々計画を練っている。
 また、ピーマンジャム、ニンジンジャム、カボチャジャムを生産し、販売している。環境部会では1年目30万円で学校林の中にある樹を切って公園予定地内に物見櫓を建てる予定である。
県の「地域が育む森林づくり推進事業」で、周南市700万円、それを5つの地域に分けると100万強あるので、色々な人を関わってもらいながら、植樹等による里山づくりを計画している。
その他、森林づくり県民税の助成を利用して、森林ボランティアの育成や、県民局による草刈り支援隊の支援で、昨年10月11月に公園用地内の草刈りをした。草刈り等維持管理をどうするかも課題である。

最後に、提案として、高知県がやられている自伐林業について、紹介された。
林業は儲からないというのが定着し、放置林が増え、山林所有者が現場から遠のいた。 主流は施業委託型林業で、森林組合あるいは民間事業者に施業を委託する。施業と所有が分離している。高性能機械を用い、原則皆伐で、また植えなくてはならない。
 委託内容は原木の伐採搬出販売であり、haあたり50万円くらいの収入になる。しかし全伐のあと再造林する費用はhaあたり100万円かかる。その上、下刈り等の管理の費用もかかってくる。持続的経営は不可能で、誰もやらないことになる。
 このような短伐期皆伐施業に対して、長伐期択伐施業の自伐型林業が最近注目を集めている。http://jibatsukyo.com/about/
 50haとかかなりまとまった面積があった方がいいが、いい樹を選んで抜き切りし、広葉樹は切らず、自然更新させる。皆伐せず、間伐はして、常に収穫できる状態に維持する。高知県では、百haで補助金も含め1千万円入る例もある。環境保全のためには現在はボランティア中心にやられているが、面積は小面積に限られる。林野庁は生産者当たりの生産量を増やす政策は、施業委託型で高性能機械を使う方向で、進めてきたが、生産者を増やすことはやってこなかった。
山口県は里山的なところが多いので、自伐型林業で、ペレットを軸にして、成功例を示したい。

質疑:

・竹の利用や竹チップはどうだろうか。
・竹炭の利用はどうか。珍重される場合もある・
→取り扱いは難しいが、竹の利用の可能性は期待できる。
 燃料として使う場合は、竹は温度が上がるので、気をつけなくてはならない。竹の伐採は根まで除かないと、あとの草刈りが大変危険だ。
 竹は堅くて、チッパーは壊れやすい。技術開発が進んでほしい。できると思う。できないと思わない方がいい。とにかくやってみることが大事だ。

・企業と林業の考え方は合わないのではないか。
→企業としても関心は持っているが、コストの差が大きければ、なかなかむずかしい。
パームヤシ等も皆伐・植林方式、これも似ている。

・野生生物の対策について、実のなる木を奥山に植えるといいのではないか。
→ブナは5,6年に1回実を沢山つければ、クマなどはあまり里に下りてこないだろう。 入会林の場合は共同所有で、合意承諾をとることが非常に困難という問題がある。空き家条例のような対策が必要だろう。里山における人間活動があれば野生動物は人間が怖いから降りてこない。ピザ屋の燃料に薪を使うと1日1万円かかるところペレットにしたら3千円ですむ。ペレット釜が百万円しても、すぐに元が取れる。
 ペレットストーブは、煙突は別にして、いま20万円を切っている。
 施設栽培で燃料代として、トマト月60万、イチゴは20万かかる。石油をペレットに変えることは可能ではないか。

・クマが人間を襲う場合もある。カキの木を自分の縄張りと思うことがある。昨年は豊北の方でも確認された。昆虫調査で山に入る時に、獣院に注意しなさいと言われた。
→東北でクマに食べられた例もある。人間の身の味を覚えたのだろう。
その他、ハチミツは、好物なのでねらわれる。須金はクマが多くなっている。

・森林の規模が小さい場合はどうしたらいいのか。
→共同体を組んで、補助金の申請も自分たちでやることになる。林業における補助の割合は8割くらいと大きいので、そういう問題もある。

・先日、長野県筑北村の柳沢林業の公益性を非常に意識した取組を聴いて非常に興味深かった。やはり森林組合への施業委託から、一民間企業に施業をまかせるというものだった。
→ネットで見ると、椎茸販売などもやっているようだ。
 東北の方では、馬に木を運ばせる馬搬を復活させているところもある。
山梨県清里ミーティングには23年間通っていて、自然学校環境教育の知り合いが多く、色々な情報が得られる。

・草刈りに、ヤギやヒツジはどうか。ヤギは仕事が雑、ヒツジの方がていねいrしいが。
→ ヤギは根から、ウシはすこし残す。
https://matome.naver.jp/odai/2138570229349490501
http://ameblo.jp/yagiusagi/entry-10508323759.html

・全国的にボランティアに期待する動きは加速する一方だが、これに応えられる体勢がが十分ではない。公務員の二足のわらじは期待できないのだろうか。
→ワーキングシェア的な考え方は大事で、島津前市長は割にそういう考えを持ってられた。現在のところは公務員には職務専念義務が課せられているが、週の内3日は職務、2日は他の仕事とか、そんな制度も考えていくべきかもしれない。地方公務員で猟友会の仕事をしている人もいる。サルは1頭4万円とのこと。

 今回は講師の豊富な経験に基づく、興味深いお話を色々聞くことができた。最後はサルの話で盛り上がりました。キーワードを白板に貼り付けていく、KP法もなかなかいいものです。

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