大コウモリの涙
2012年06月14日
熱帯植物室では、ヒスイカズラが今年二度目の開花中です。
ヒスイカズラは、花粉の運び役に大コウモリを選び、大コウモリを呼び寄せるために、大コウモリの好きなヒスイ色になったと言われています。
でも、ヒスイカズラの原産地のフィリピンでは環境破壊などによって絶滅危惧種になっています。今後、人の手によって種の保存が行われるのでしょうが、大コウモリの為にこんなに美しい色になったのに・・・。
故郷を追われるヒスイカズラ、新しい安息の地で素敵なパートナーと出会えるといいですね。
花言葉は、「私を忘れないで」
切ないですね。
「ところで、コウモリって目が見えるの?」
コウモリは音を発して、その音が物に当たって帰ってくる時間から距離を測定(反響定位)して飛んでいると記憶していましたが・・・。
調べてみました。大コウモリは反響定位を行わず、目もよく見えるそうです。
・・・大コウモリさんの涙・・・
きれいな色ね 素敵な色ねと
人間は楽しんでいるけど
暗い森の中では
大好きなヒスイカズラがいなくなって
大コウモリさんが
さみしいさみしいと
涙をながしていることでしょう
「金子みすずさんの詩」風にまとめてみました。 (D)
ヒスイカズラの色に魅せられた大コウモリは、花の蜜を吸うために上下に開いた花弁(写真左)に口を突っ込みます。その時に、コウモリの体が上部の花弁(竜骨弁)を押し、先端から花粉が押し出されるように出てきます(写真中)。竜骨弁の中には、写真(右)のようなおしべとめしべが入っています。