デラシネという生き方
2012年12月05日
「デラシネの旗」という五木寛之の小説があります。
直木賞作品「青ざめた馬を見よ」や「さらばモスクワ愚連隊」等でギラギラと輝いている時期に、発表されました。
「デラシネ」とは、フランス語で「根無し草」。当時は単に、故郷を捨てて、根の無い草のように生きていくこの小説の主人公のような生き方の比喩と思っていました。
その後、本当に根のない植物があることを知りどれだけ驚いたことでしょう。
ラン室に「サルオガセモドキ」がいます。(この表現でいいのかどうか。「あります」「植えています」「なっています」「咲いています」・・・いずれもおかしいですね。「引っ掛けてあります」が正解かもしれません。)
エアプランツ(空中植物)の一種です。
小学生達に「あれは何でしょう?」と、問いかけると、ほとんど「枯れ草」という答えが返ってきます。
が、枯れてはおらず、この姿で生きています。
一般に根の役割と言えば、栄養分を吸収することと体を支えることですが、サルオガセモドキは、体全体で空中の水分を吸収し、また、切れて風に飛ばされ、引っかかったところに付着して生きていきます。よって、根は必要なく、退化してなくなっています。
春先に、小さな花が咲きます。午前中だけ香水のような、とても良い匂いを放ちます。
サルオガセモドキは、どうしてこのような生き方を選んだのでしょう。
できることなら、ブランディでも飲みながら彼らと語り明かしたいですね。
「この生き方って、どうなのよ?」って。 (D)
ラン室出口付近の「サルオガセモドキ(パイナップル科)」です。やっぱり「枯れ草」に見えますね。とてもパイナップルの仲間には見えません。
アップで見ても同じですね。ちょうど真ん中あたりに花が枯れた後が見えます。3~5㍉位です。