ランの生き方
2013年02月21日
ラン室の雰囲気が少し変わりました。
出口付近に大きなディスプレイができ、木や柵に吊るされたランが増えました。
ランのこのような展示に、違和感のある方もいらっしゃるでしょうね。
ランは、木の幹や岩の上などに根を張りつかせて自生したり(着生種)、うす暗い森林の中で地中に根を下ろして自生したり(地生種)しています。
ですから、着生種にとっては、木や岩の上での展示が、自生地での姿に近いのです。
では、何故ランは、そのようなところで生きてきたのでしょう。
それは、「ランは地球上に生まれた最も新しい植物であり、ランが生まれた時、住みやすい場所は他の植物に占拠されていたからである」と、言われています。
遠慮して木や岩の上で住むことにしたのではなく、他の先住植物との生存競争に負けたのです。
生育スピードが遅い着生ランでは、他の植物には勝てません。
ランは生き残りの為に種子を小さくして空中に浮遊させて遠くに飛ばしていると言われています。そして飛んで行った先の中で生きることができるのが、木や岩の上と言うことですね。
勿論、進化は、突然変異と自然淘汰の繰り返しによるもので、植物の意思によるものではありません。でも、意思を持って進化したように語るのが楽しいですね。
犬が生き残りの為に人のペットになる道を選び、可愛い演技をするようになったと言われているように、ランも生き残りの為に、人に愛されようと美しくなったのではなかろうか。
犬大好き人間の私は、ランもこのように見てしまいます。
しかし、「ラン」は、人に愛されすぎて乱獲された結果、絶滅危惧種が最も多くなった植物でもあるのです。 (D)
倒木などを利用して、深みのあるディスプレイになりました。
根が鉢から露出しているのを見て、「大きい鉢に植え替えなければいけませんね」とよく言われますが、自生地では、根は露出していると思いますので、これはこれで良いですね。
岩越しに見るランも風情があります。