ウツボカズラに脱帽
2012年12月03日
目の前の奇妙な植物が、ウツボカズラという名前であることを最初に知った時、「へぇ~、これが、(肉食魚の)鱓(うつぼ)に見える人がいるんだ・・・」と思いましたが、違いました。
ウツボカズラのウツボは、鎌倉時代あたりの武将が腰につけている弓を入れる靫(うつぼ)のことでした。
ときわミュージアムの自慢の一つが食虫植物です。ここのコレクションだけで食虫植物展を開催できますからなかなかのものです。
その食虫植物の中で、ハエトリソウに次ぐ人気がこのウツボカズラです。
ハエトリソウは、約0・5秒で虫を捕まえるパフォーマンス一つで首位を獲得していますが、このウツボカズラの秘めたパフォーマンスは、相当なものです。
ウツボカズラは種類が多く、それぞれ微妙に能力が異なりますが、概して言えば、次のようなものです。
・補虫器の入口の蜜腺から良い匂いを出し、虫を誘う。
・補虫器の入口は内側に反り込んでおり、虫が滑り落ちやすくなっている。
・補虫器の内側に下向きの刺のようなものが生えているので、落ちた虫は、這い上がれない。
・何とか這い上がっても、入口がネズミ返しのようになっているので、そこから上には上がれない。
・補虫器の水は消化液となっている。
・補虫器の上についている屋根のようなもので雨水の降り込みを避ける。
・落ちた虫が、この屋根を見ると、屋根のある方が底に見えて、上下がわからなくなって混乱する。
進化は突然変異による個体差と自然淘汰の結果と言われていますが、何度突然変異を繰り返せばこれだけの能力を身につけられるのかと不思議に思えてきます。
この補虫器に落ちてきた虫を食べるために、この中に住みついている虫がいるらしいのですが、世の中には色々な生き物がいるものです。
先日ガイド中の出来事です。
「そうは言っても、このツルの先端にある補虫器まで這い上がって来て、落ちて食べられるような虫がいるとは思えませんが。」と、言いながら補虫器を手にとって、中の水を少し出したところで、突然中から、死んだ数センチのムカデが出てきました。
ビックリして、あわてて手を離しました。
「これだけ足があっても這い上がれないのだ・・・」
脱帽。
先日から腰が痛く、コルセットを使っています。もしかしたら、あの時、腰をひねったのだろうか。 (D)
食虫植物コーナーの中の「ウツボカズラコーナー」です。現在、10数種類のウツボカズラが展示されています。
「ウツボカズラ」の補虫器です。なかなかの美形です。原生地では、大きいのは30cm位になるらしいのですが、かなり怖いですね。
こんなかわいいウツボカズラもいます。見た目は可愛いのですが、小さな虫にとっては、恐るべき植物なのでしょうね。