種なしバナナ
2012年11月25日
ときわミュージアムで一番大きな仮茎(木の幹に見える部分)のバナナの先端から、花茎が垂れ下がってきました。
今年最初にバナナの花茎が垂れ下がってきたのが9月中旬だったので、2カ月遅れです。
もしかしたら、一番大きな仮茎のバナナの実はならないのかもしれないと、心配していましたが安心しました。
最初のバナナの実は、巨大な房となって悠々と垂れ下がっています。年明け頃には熟してくることでしょう。
ところで、バナナと言えば、安いし甘いし食べごたえはあるしで、子どもの頃からよく買ってもらって食べていました。
そのバナナには種が無かったし、そのことに何の疑問も持っていなかったですね。
それがある日、ふと「何故、種が無いのだろう?」「種が無いのにどうやって増えて行くのだろう?」「何のための実なのだろう?」と何となく考えたこともありましたが、特に調べることもなく、長年その疑問を放置してきました。
ミュージアムに勤務するようになり、バナナについて調べて行くうちに色々わかってきました。
①バナナにはもともと種があった。(今でも種のあるバナナはある。)
②1万年くらい前に遺伝子の突然変異で種なしバナナができた。
③それをマレー半島の住民が見つけた。食べやすく美味しかったので増やそうとした。
④種が無かったので、バナナのそばに生えていた新芽を株分けしてみたら、また種なしバナナができた。
⑤この新芽を繰り返し植えているうちに種なしバナナが増えてきて現在に至る。
だいたいこんな感じですね。
ときわミュージアムの庭園にあるバナナの仲間の地涌金蓮を見ていると、新芽で増えて行くのがよくわかります。
種が無い理由や、それでも増やしていける理由は、良くわかりました。
わからないのはただ一つ。
「子孫繁栄の為に何も役に立たない巨大な房を、何カ月もの間育んでいるバナナの心情」ですね。 (D)
熱帯植物室のバナナです。正面の一番大きな仮茎の先端から苞に包まれたバナナの花茎が垂れ下がっているのが見えます。
花茎です。この中に100~200位のバナナが育っていきます。
バナナの新芽です。親株にバナナがなる頃には、親株の近くに子株が育っています。